スチームパンク

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スチームパンクとはサイエンスフィクション(SF)のジャンルの1つ。その名の通り、蒸気機関が使われていた時代の雰囲気がベースになっています。H・G・ウェルズやジュール・ベルヌの小説に出てくるレトロな?未来社会をイメージするとだいたい合っているかもしれません。
今回話題にするのはそのスチームパンクを名前につけた腕時計の話です。

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久しぶりに時計を買いました。Schaumburg(シャウボーグ)というドイツ製のもの。この会社は20年前に創業され、年間1500〜2000個くらいの生産規模、つまりごくごく小さなメーカーです。

もう時計は要らないと思っていた私でしたが、雑誌やネットで見かけた姿が琴線に触れたせいか、無性に欲しくなってしまいました。その時計がスチームパンク。

数が限られているため注文しても本国からの輸入と聞き、ドイツへ問い合わせると「あなたは運がいい。今日本にあるはず」と返事をもらい、大阪梅田の大丸へイソイソと出かけました。

最初のバージョンは昨年発表されているようですが、私がゲットしたのは第二版。キャリバーはスイスのユニタス(ETA)の手巻き。それを一個一個バラし、オーブンで焼いたりとダメージ処理を行い、名前の通りな作品を作り出したという代物です。もうほとんどアートな作品。

こちら、もう腕時計はいらないと思ったのは10数年前。街中どこに行っても時刻はわかるし、今ではスマホを見ればすぐわかります。でも腕時計は時刻を知るだけでつけるものとは限りません。

たとえばロレックスは投機性と換金性の高さから、まるでゴールドコインのごとく売り買いされます。また、それよりも高価なパテック・フィリップやブレゲなど数百万円から数千万円な時計はダイヤモンドや貴金属の宝飾品と同じ。つまり、時刻を知る本来の目的とは違うところで使われているのです(注1)。

そんな私が自らの禁を破って時計を買ってしまいました。値段は安いとはいえませんが、まぁ許せる範囲(注2)。

今回のスチームパンクを腕につけると何か外出したくなる。買ったばかりといえ、そんな気分になる自分に驚きます。そして、女性が綺麗な着物やドレスを着るとお出かけしたくなるのと同じかと改めて感じ入る次第(爆)。

(注1)時計の使用目的が時刻を知ることとは限らない。この辺を理解していないのが日本メーカー。正確性や安価であるというのは訴求力の1つですが、同調圧力が強い日本ではそこそこ数が出てもグローバルではそうはいきません。求められるのは工業製品的な無個性さではなく、個性的なデザインや尖ったスペックだとなぜ気づかないのでしょうか。

(注2)スチームパンクをドイツで買えば、日本持込時に税金を支払っても日本(代理店経由)で買うよりも随分安い。でも頻繁に欧州へ足を運ぶ人は別として、保証やメンテを考えると正規品の方が割安になるかもしれませんので要注意。ちなみに私は百貨店の株主優待割引で1割引。