風の色と音の色

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前回、辻井さんのピアノの音色について記していたら、連れ合い曰く、「お母さんが書いていはるのといっしょやね」とのこと。何それと問うと、辻井いつ子さん(辻井さんの母)が書かれた本の中に、彼が風の色について尋ねる下りがあるのだそうな。早速読んでみると、なるほどなるほど。やっぱりそうなのか。

・・・

あなたは風を色として認識しますか、あるいは感じることができますか?

一般的に風は風圧で感じるものなので、強い弱いで評価します。あるいは、風に当たる時の温度から暖かい冷たい、生ぬくい等と表現することもあるでしょう。私を含めて普通人はこの程度が関の山。

風の色といえば、こどもの頃読んだ漫画の中に「蓼科の風って水色ね」と女の子が云うシーンがありました。風に色なんかあるものか非科学的だなぁと思いつつも、この風の色という言葉に心が妙にざわめいたことをよく覚えています。漫画家は風の色が見えていたのか、それとも一種の洒落だったのか。

光が波動であるのと同じく、風を波などの物理特性で把握し色に変換して理解するのはあり得えないことではありません。そう気づいたのは物理学をある程度勉強してからのこと。

・・・等という小難しい話は別にして、風を色で認識することはあり得ないことではないということ。

目の見える人にはない感覚を目が見えないが故に感じるという話はとっても興味深く、そしてちょっぴり羨ましい。そういう意味でも辻井さん親子はアートな世界の住人なのでしょう、きっと。

とにもかくにも彼は風を色で感じることができ、それをピアノ演奏で表現できているとしたら・・・、私がコンサートで感じた光の蠢きは辻井さんが表現する世界に繋がる風景だったのかもしれません。何か嬉しく感じます。


それにしても、CDで何度も聴いた曲も臨場感ある生演奏は全く別世界。これもまた再確認した次第。

なお、紹介のCDブックスは辻井いつ子さんが以前書かれた「今日の風、なに色?」の文章をコンパクトにまとめ、辻井さんのピアノ演奏10曲を聴きながら楽しめるようにしたもの。お薦め。