炊いたん もう1つ

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昨日に続き、美山荘の朝食をもう1つ。新タマネギの炊いたんです。新タマネギの料理は洋風でも和風でもいろいろありますが、朝からこんなの食べていいんかいな、と思うくらいに美味しかった。今回のような味わいは始めてです。

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新タマネギの炊いたん。目の前に供された時、なんやこれ?と微かな驚き。イカではありません。よく見るとタマネギでした。上に乗っているのは柚子山椒のようです。

箸を入れるとお豆腐のように柔らかい。口に入れると上品なお出汁の味わいがじわ〜〜っと広がり、最後のアフターはたしかにタマネギの味。こりゃ、旨いなぁと夫婦で顔を見合わせたくらい。この日の朝食で一番美味しかったのがこのお料理でした。

女将さんや仲居さんから聞いたところ、新タマネギを2時間ほどじっくり焼いてお出汁で軽く煮合わせるとのこと。普通の家庭ではちょっと面倒なレシピですね。

これも自宅で真似しのトライ。大きなタマネギでは中まで火を通すのに手間暇かかりますが、小さいのなら時間も短くて済むのではないかと考え、自宅では径が2~3cmくらいの小振りのを使うことにしました。

それをロースターで20分近く焼き、焦げた表面を剝いて中身の白い部分に火がちゃんと通っているのを確認した上でお出汁で軽く煮たところ、似たような味わいを再現することができました。タマネギってこんなに美味しくなるもんですな。今更ながら驚きます。

宿で新タマを使うのは柔らかさと香りの問題でしょうから、そこまで完成度がいらないなら普通ので皆さんもトライしてみて下さいませ。

ところで、前回美山荘の朝食を味わった時はそれほど記憶に残らなかった私ですが、先の炊いたんを含め、食材が違うと料理の印象がこんなにも変わるものなのかと驚きました。摘み草料理が売りな宿なわけですから、山菜などのお野菜がいろいろある時期にこそ腕が発揮できるわけで、秋から冬にかけての味わいでは正当な評価ができなかったというわけでしょう。

一期一会とはいうけど、一回きりの食事であれこれ云うのはやはり難しい。美山荘の料理の引出しはまだまだいっぱいありそうで、なかなか奥深いものを感じた朝でした。次回は猪肉や熊肉が美味しい時期に訪れようと考えた次第です。