Xdayは2020年過ぎ?

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連日株式市場は大荒れ。個人的には予想以上のアップダウンです。そんな折り、荻原博子さんの「10年後破綻する人、幸福な人」(新潮選書 2016)を読みました。さすがの分析にまず感心。私の知らなかったことがいろいろ載っていて勉強になりました。
中でも面白かったのは、2020年が景気の転換点という彼女の読みです。東京オリンピックまでは国やその意向を受けた資金源が意地でも株を買い支えるから、というのがその根拠ですが当たっているかもしれませんね〜。

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10年後破綻する人、幸福な人 (新潮新書)

先日発表された日銀のマイナス金利、思惑は円安誘導です。でも世界はそんな期待にはお構いなし。円安はたった1日だけで昨日から大きく円高に振れてきました。一方、銀行がマイナス金利の損に甘んじるはずもなく、最後のしわ寄せが一般庶民にやってくるのは明らかです。ただし、一般の預金金利をマイナスにするわけにはいきませんので、ひたすら金利をゼロに近づけるとともにATM利用料やローン金利などをこっそりといじってくるでしょう。

まぁそれはさておき、昨年来この国の株式崩壊のXdayは今年中かなぁと記してきましたが、荻原さんは2020年までは引っ張るだろうという意見です。なぜかといえば、国が郵政民営化で集めた資金で東京オリンピックまでは買い支えるから、とのこと。

現在の株式相場が官製相場であることは私も同感ですから、そのクライマックスが国のお金の尽きた時であることも首肯です。問題はそれがいつなのか。今年辺りで外資の売り攻勢に対抗できないだろうと私は思っていましたが、荻原さん曰く、ゆうちょの預け入れ限度額の大幅増額でお金を集めて株を買いまくるから2020年までは保つ、というのです。う〜〜ん、首相や官僚の考えそうなことで、たしかにありそうですね。

 

一方で年金の今後については、国は年金の保険料を上げる、給付額を下げる、給付開始年齢を遅らせる、という姑息な対応で破綻していないように見せかけるというのが彼女の見解。これは私もほぼ同意見。問題は金額の大幅な削減などを破綻状態と云うのかどうか、この点で「破綻だ」という人もいれば「破綻していない」と云う人もいる。ここを押さえていないと庶民は一見両極端な「破綻論」に振り回されてしまうだけでしょう。

他にも今後の介護事情の分析やマンションを粗大ごみにしないための基礎知識の紹介など、なかなか有意義な視点が展開され、読み応えがありました。荻原さんの確かな視点と意見の一貫性は一流というべきところ。年金は破綻する・老後の生活は困窮する・だから株買え買えという脅し本とは一線を画すデキです。お薦め。

ということで、彼女の言い分が当たっていれば日本の株式市場の下値は郵政絡みの資金が拾ってくれるので、しばらくは儲けネタになりそう。ただし、大きく乱高下して振り落されそうになるやもしれず、心臓というかメンタルが強くない人あるいは優柔不断な人にはお薦めしません(念のため)。