二重行政は解消されるのか

.opinion

大阪市のサイトから

大阪市のサイトから

昨日、大阪都構想が住民投票で否決されました。橋下市長の言い分にはウソやマヤカシが多いので、とりあえず一安心。ただ、彼のいう「二重行政の解消」は必要不可欠な課題なので、問題になった都構想とは別に今後取り組んでいただきたいものだと強く願う次第。

・・・

4月17日大阪市の住民投票で、橋下市長が目指していた「大阪都構想」が否決されました。ただ、反対 705,585票に対し、賛成694,844票で、その差わずか1万票余。ほとんど同数の僅差。みんなで否定したというより世論を二分したというべきところでしょう。

否決後の会見でその僅差を話題にするかと思いきや、橋下市長はあっさり負けを表明。負けたら政治家をやめる等と宣言していたとはいえ、あまりの淡泊さに潔いというべきなのか。私は逆に不気味さを感じてしまいました。

150518a私自身の意見を言えば、大阪の二重行政解消というのは必要かつ不可欠だ、と考えています。だって、大阪市と大阪府ではダブりが多く無駄が山積。もし財政健全化や住民サービスの向上を目指すなら、そうした無駄は省かなければなりません。そういう意味では府市の二重行政解消は喫緊の課題でした。

一方で、コストがかかる、住民サービスが低下するとして論戦を張り、自民党が大阪都構想に反対したのは取り敢えずの正論だとしても、長い目でみたらどうなのか。本来問題にすべき「二重行政の解消」についてはいったいどう考えていたのでしょうか。本音は現在の利権が橋下市長側に奪われてしまうことを恐れたせいではないかと勘ぐったりします。

実際のところ、橋下市長の狙いが何なのか、「大阪都」を実現したら、その次はどうするのか。何か他にケッタイな目論みを隠しているのではないか。そんなことを感じさせるほど彼そのものが信用ならない人物だったから。
大阪府知事の時代、赤字解消を実現したなどと云っていましたが、その手口はブラック企業の会計操作と同じ。たとえば、3月末に外郭団体の借金を銀行に肩代わりさせて帳消しにし、翌日4月1日に元に戻すという離れワザ(当時の吹田市長などが本で指摘されていました)。1日分の金利を払うことで帳簿上は財政を綺麗に見せかけただけの「赤字解消」はサギ紛いでした(違法かどうかといえば黒に近いグレーゾーンです、念のため)。

150518bまた、3.11の後、脱原発を打ち出し、大株主である大阪市の長として関西電力の株主総会で華々しく論戦を張っていたのですが、いつの間にか「負けた」と称して撤回。これについては資金源ミキハウスからの圧力があったと思われますが、最初が派手だったため脱原発の市長だと勘違いしている向きが今でも多いのではないかと考えます。

いずれにしても彼は信用なりません。共産党などが「大阪都構想」に反対するのはそういう経緯もあってのことでしょうが、結局「大阪都構想」の是非は橋下市長のキャラが好きか嫌いかという人気投票になってしまいました。結果は否決。でも、行政財務の健全化、サービス向上という「二重行政解消」が否定されたわけではないはず。今後の大阪市がどうなるのか、気になるところです。