15億回

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おまけの人生本川達雄さんの著書に『おまけの人生』があります。いろいろな生き物の生態を調べて到達した人生論で、実に興味深い話が満載。
問題の「おまけの人生」とは何か。15億回というマジックナンバーにご注目。

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本川さんには『ゾウの時間 ネズミの時間』という名著があります。そこで既に触れられていたことですが、著者はいろいろな調査を通じ、ゾウとネズミでは寿命が違うのに、それぞれの一生の時間感覚は同じではないかということに思い至ります。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)そのヒントは生き物の心拍数。ゾウの寿命は長いもので70年、ハツカネズミは2,3年ですが、心拍数はそれぞれ1分間に20回と600〜700回だそうです。寿命は違えど心臓が鼓動する回数はどちらも一生で約15億回なのです。

そこで、本川さんはいろいろな生き物の体重と心拍時間との関係を調べ、時間の長さは体重の4分の1乗に比例するという関係を導き出しますが、詳しいことは本をお読み下さい。私が紹介したいのは15億回の方です。

どんな生き物でも心拍数が15億回程度というのはまるで生命の神秘に肉迫するマジックナンバーです。ヒトの場合、その心拍数が15億回だとすると寿命は約40年ちょっと。現在の日本人の寿命からすれば約半分。でも、この数字はアフリカや南米などでは今でもそうでしょうし、数百年前の日本でもそうでした。


最近は生活環境が清潔になり医療も進んだので、日本では80歳やそれ以上生きることができます。でも、生物学的な寿命からすれば「おまけ」に過ぎない……、本川さんの言い分はそういうこと。問題はそのオマケをどう考えるかということなのですが、それは個々人で考察してみて下さい。

ところで、先日セミの時間のことに触れました。ヒトから比べると短いようなセミだって、実はヒトの一生に当たる時間を全部愉しんでいるとすれば、何か嬉しくなってきます。

実はあの時、本川本を思い出したわけですが、つい最近ひろさちやさんの本から道元などに興味が広がり、一方でアドラー本やアランの『幸福論』に至るまで似たような時間論が展開されていることに気づきました。そこで、時間哲学に科学的なメスを入れた本川さんの『おまけの人生』を再読したら、「道元の時間」なる章があり、こちらの連想がはずれていないことを確認できた次第。

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