地震で重要な機器が壊れた

3.11

国会事故調査委員会が昨日報告書を発表しました。この報告書では、地震によって原発の重要な機器が壊れた可能性に言及した箇所があり、もしそうであれば大飯以下全国の原発の稼働には深刻な問題となります。案の定、今朝のNHKは肝心要の論点をパスして、しっかり御用ぶりを発揮しています。

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昨年の東電福島第一原発の事故についての調査委員会はいろいろありますが、そのうち国会の事故調の報告書が昨日発表されました。

テレビなどでは前総理の介入が事故対応に混乱を招いたとの結論を取り上げています。それは横に置いておき、この報告書にはもっと重大な記載があります。(現地調査ができないので報告書から外されるのではないかと懸念されていた)そもそも原発事故の原因は何なのか、という点についての分析です。

国会事故調は東京新聞の記事をそのまま引用すると、次の通り結論付けました。

報告書は最初の揺れで原子炉が緊急停止後に最大の揺れがあったことなどを根拠に、「安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えない」と指摘。特に1号機では、原子炉内の高圧蒸気を格納容器内に逃す装置が動かなかった可能性があるとし、配管に開いた小さな穴から時間をかけ冷却水が漏れた可能性を否定できないと結論付けた。(東京新聞 2012/7/06)

読売新聞でも、「事故の直接的原因について、「地震による損傷はないと確定的には言えない」と明記し、地震も事故原因の一つである可能性を示唆した」と報じています。この点では読売もマルですが、NHKは6日朝7時のトップニュースで国会事故調の結論が出たというだけで、上記の説明はありませんでした。

では、この「地震で重要な機器が壊れた可能性」という結論はどこから導き出されたのか。

思い出して下さい。国会事故調は東電福一原発に出向いて機器を調査したわけではありません。彼らが分析した材料は、事故調へ引っ張り出した事故当時の福一原発所長の吉田氏の説明でした。

この聴き取りは非公開だったので、いったいどんな説明がなされ、どんな質疑があったのか私たちにはわかりません。でも、結論が「安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えない」というわけですから、吉田前所長の説明がその判断材料になっているのは明らか。非公開にしたことで東電等の原発マフィアからの抑圧をかわすことができたのであればマルでした。

でも問題はもっと深刻です。国会事故調の結論がそうであるなら、政府が喧伝してきた原発の安全性の説明は根底から覆ってしまいます。具体的には津波対策云々では過酷事故は防げないということ。

この点にすぐさま反応したのが日本共産党の志位委員長で、「関西電力大飯原発再稼働の論拠が全部崩れてくる。再稼働は本当に道理が立たない」と述べ、政府の対応を改めて批判した」とのこと(サンケイ新聞 2012/7/6)。載せたのがサンケイというのが面白いけど、全く妥当な批判です。

今こそ政府は国会事故調の結論を真摯に受け止め、原発再稼働が深刻な事態に繋がりかねないことをきちんと認識すべきです。それが3.11に学ぶということであり、フクシマの人たちの艱難辛苦を無駄にしない、そして国民の安全を守る、ということだと私は考えます。