ミシュランの裏読み

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Gr. France 2010ミシュランガイド2010・フランスのホテル&レストラン版を注文。何年も行きそびれていたので今秋こそ…と思っています。昨晩エアーは押さえたし。ミシュラン大阪京都なんかを見ていると、たいしてアテにはならんな~とは思うものの、やっぱり本家フランスの現地を知らない者にはそこそこ役に立つガイドかなぁとも思う次第。でも、読み方に工夫もいるでしょう。

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ミシュラン・フランス、自宅本棚を覗くと92年、96年、07年…、イタリア版とかヨーロッパ版までありました。結構持ってますね。お世話になっています。それにしても2010年版、現地での出版が3月4日で、日本でも3月中旬から手に入るというのはなかなか早い。昔は国内で手に入れるのも大変でしたから、時代の変化を感じます。

私がフランスに初めて行ったのは1988年。その時はシゴトだったので飲食に注力することはできず、ただただフランス人とのお付き合いに愉しんだという記憶のみ。その後ワインに目覚めたことで、美味しいものを求め、1995年と1996年にフランスへ。その前後にフライト&ホテルを予約していても用事でキャンセルしたのが1度、そして今世紀になってからも、いろいろな事情で実現できず仕舞い。今回ははたして?

michelin

そのミシュランですが、この20年でみても、星つきレストランがどんどん移り変わってきました。80年代から90年代に名を馳せた3つ星のタイユヴァンは星を落とし、トゥールダルジャンも凋落、ルカ・キャルトンはブラッセリー化に伴い星を返上。パリにある3つ星でこの20年間ずっと最高位を維持できたのはランブロアジーのみ。私たち夫婦が訪れたジャック・カーニャは2つ星から1つ星になってしまいましたし、2度行ったことのある1つ星のピウ・オゥ・フィスにいたっては店もなくなってしまいました。何かモノガナシさを感じますね。

地方の3つ星でも、私が好きだったボワイユ(シャンパーニュのラーンスにあるレストラン、もともとはポメリーのルイーズさん館だった処、私たち夫婦は2度訪問)はシェフ引退で星を落とし、その後も鳴かず飛ばずで今年版では星なしに転落とか。なんとまぁ。

でも地方にはまだ古参組が残っています。オーベルジュ・ド・リル(1967年に3つ星)、ポール・ボキューズ(1965)、トロワグロ(1968)、ジョルジュ・ブラン(1981)等がそうです。

ただ、「裏ミシュラン」を書いた元調査員のパスカル・レミさん曰く、「3つ星の3分の1くらいは名に値しない」とのこと。昔からの因縁でずっと3つ星をもらっているけど、クリーム&バター使いすぎで料理は既に古く、素材の調理方法も味付けも古風でメリハリが感じられない…というわけでしょうか。どこのお店のことだか、わかります? 日本のデパートなんかと資本提携している某店なんかはその1つではないかと私は思ったりしますが、さてさて?

時が変われば人の好みも変わるというわけでしょうか。フランス料理の世界も群雄割拠、生々流転で、どんどん変化しているのでしょう。昔はこってり料理が当たり前でも、同じ素材でここまで変わるのか!というのもあるし、最近は新鮮な野菜がふんだんで、味付けはよりヘルシーな感じが好まれます。時代に迎合せよというのではなく、時代が求めるものを常時チェックしていくのも大切でしょう。昔の職人は昔ながらのシゴトしかできません…というのでは、(良し悪しの判断は横に置いて)時代に取り残されてしまう。どの世界でもいっしょだな。

そんなことを考えると、3つ星認定から既に数十年経ち、何らかのしがらみで星をキープしているようなお店よりも、新しく認定されたり、これから3つ星に伸びていくようなレストランを狙うのが賢い選択ということになりそうです。そういった風にミシュランを読めば有効なような気がしますが、どうでしょうか?

そういえば、私たち夫婦がアルページュに行ったのは3つ星を獲った年の秋でしたし、ギィ・サボアも3つ星に限りなく近い2つ星と云われていた95年に愉しみました(2002年に3つ星昇格)。どちらも至高のディナーで、かつリーズナブルな値段だったのですが、その後の人気はうなぎ登り。おまけに最近の値段は随分トンデますね。びっくりします(苦笑)。

ということで、今回予約を狙っているのは、ある山の中で、行くのに往生するけど、料理や雰囲気は今まさに油の乗り始めている処や(ミシェル・ブラにあらず)、数年前に3つ星に昇格した地方の新進気鋭のお店等です。でも、うまく辿るつけるだろうか、ちょっと心配。