若者は損をしてる!?

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若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)知っているようで知らない政治の実態。たとえば、国会議員は国民の代表なんて教科書的?な知識から逃れられない人は、世の中がどう動かされているか、一生わかり得ない。ある意味、この国が編み出した「愚民教育」の成果の1つがこれでしょうか。

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森川さんの「若者は・・・」(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009)は、私たちが知っていそうで実は何も知らない政治の仕組みについて、鋭くそして明快に示してくれています。

国会議員とは(たくさん票を持っている)組織や(たくさんの資金を提供してくれる)特定団体によって選ばれるものなので、当然ながら、それら組織や団体のために働くことが要求されるし、実際そうなっている・・・、これが先の答。森川さんの本にはもっとわかりやすく解説されています。

いくら志が高かろうが、有権者は自分らの利益になることを強く求めてくる。それが票やお金を出した見返りであるのが当然という考え方が普通でしょう。トヨタ、キヤノンなどの大手企業がいくら政治献金をしているか等を知らずして、エコカー減税とかを理解できないというわけですね(苦笑)。

そういえば、大前研一さんの本にも彼が選挙に2度と出ない理由が挙げられていましたが、まさにこの辺のことでした。

この本は政治をその構成団体に分け、それぞれの位置づけ、役割を示すことで、この国の奇妙な政治の仕組みを描き出しています。内容はお読みになっていただくとして、特別利益団体(圧力団体)や官僚組織の分析は圧巻で、メディアや有識者という名の御用学者に毒されてしまった私たちの理解を壊してくれることでしょう。

題名の「若者は、選挙に行かないせいで、4000万円も損してる!?」というのは、現在の政治が選挙の票になる高齢者を満足させるものに偏っていることを年金制度から解き明かそうとしたもの。損をしたくなければ棄権でなく、若者対応の政治をしてほしいという意思表示が大切だという著者の見解はその通り(本を読んだきっかけがこの内容でした)。

時期も時期であり、森川さんの著作を読むのは実に意義あることだと思う次第。お薦め。

今回の選挙は自民党Aと自民党Bの選挙だと揶揄する向きもあり、それはそれで正しい見方だと私も思いますが、それでも官僚制度や利益団体の再編に繋がるなら、自民党Bに政権をとってもらうのは意義のあることだと思っています。(選挙期間中なので政党名は伏す、皮肉です)