コードレス掃除機から見えること

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先日マキタのコードレス掃除機を取り上げた時、充電池や充電時間が随分改善されていたことを記しました。数日前ボッシュもまたコードレス掃除機を発表し、「短い充電時間で長く稼働」などと宣伝しています。世界的な工具メーカーであるマキタやボッシュの動きをみると、充電池や充電装置がモノ本体を規定する時代がやってきたなぁと思わざるを得ません。

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6月に発売されるボッシュのコードレス掃除機は以下の通り。

外付けの18Vリチウムイオンバッテリーを採用したコードレスクリーナー。容量は3.0Ahで、短い充電時間で長く運転できる点が特徴。フル充電までに掛かる時間は約35分で、連続作業時間は21分。なお、容量の75%まで充電するターボ充電の場合は約18分で完了する。(家電Watch 2018年4月18日より)

マキタのコードレスと比べ、ボッシュのコードレス掃除機の連続作業時間は21分で約2倍。ボッシュの充電池の容量が3.0Ahですから、この作業時間の違いは充電池容量の違いです。

また、フル充電にかかる時間はボッシュの方が35分でマキタの22分よりも長くかかりますが、単位容量当たりで考えればほぼはいっしょ。どちらも充電時間が従来よりも大幅に短縮されており、ダイソンはじめ日本の掃除機メーカーの充電時間が数時間かかるのと比べると遙かに魅力的です。

ところでマキタもボッシュも工具メーカー。掃除機で名前を売っているとは言い難い。なのに製品が魅力的なのは充電池や充電機器の能力に大きなポイントがあるから。つまり、コードレス掃除機は電池の方が商品の魅力を決定づけているといっても過言ではありません(もちろん吸引力は最低条件)。

クルマでも同じ。昨今電気自動車(以下、EV)が話題になります。大胆にいえば、これからはクルマ本体ではなくバッテリーを握った会社が勝者です。このままではトヨタはトップの座を失ってしまうといってもいいでしょう。(追記)


というのも、EVはガソリン車やハイブリッド車に比べると随分シンプルに作れますし、工程も少なく部品点数が圧倒的に少なくなります。つまり自動車関連に張り付いている従来の産業の未来はかなり怪しくなるわけ。これは避けられません。

ここで問題になるのはクルマ本体ではなく(もちろんそれも重要な要素ですが)、高性能の充電池と高速充電の技術。脱線すると、日産が新しいリーフを発表した直後に検査「不正」が飛び出してきたのはいったいなぜか。すぐにEVが広まってほしくない既存自動車産業の利権の策動が背後にあったのではないかと勘ぐってしまいます。

日本の新聞テレビではあまり登場しませんが、欧米では毎日のようにEV関連ニュースがいっぱい。課題や問題はまだまだありますが、ガソリン車からEVへの動きはもう止められません。なのに日本では従来の自動車利権に忖度するメディアによって、未来が読み取れなくなっています。このままでは携帯スマホの二の舞で、クルマでもガラパゴス化してしまうのではないかと案じるところです。

かくいう私も10年前時代が読めませんでした。リーマンショックの直前のことですが、シンセンの電池メーカーBYD(比亜迪)が突然自動車を作ると発表。当時この会社の株を買おうかどうか逡巡していた私は「クルマ製造の経験もない電池の会社がホンマにできるのか、ギャンブルではないのか」」と訝しがり、株購入を中止。今から思えば、バッテリーがクルマ本体を規定する時代、つまり今起きていることを見通せていなかった、というべきところです。

今回のボッシュとマキタのコードレス掃除機を見て、そのことを再度思い出しました。掃除機も高性能充電池と高速充電器が雌雄を決する時代。これからの掃除機はコードレスだと宣言するダイソンでさえ周回遅れではないかと思う私です。

栄華はいつか終わる。日本の産業は生き残ることができるのでしょうか。

(追記)この稿をアップしようとしていた朝、自動車サイトにて興味深いのを発見。「日本車は完全に周回遅れ・・・」(国沢光弘 WEB CARTOP)も是非ご覧下さい。