万年筆の修理

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固い話ばかりでは何ですから、息抜き兼ねて筆記具の話。机を整理していたら昔使っていた万年筆が出てきました。プラチナの#3776です。約40年前に購入したものですが、キャップと本体との接触部分がヘタってしまったことでモンブランのボールペンに替え、引出しの中に放置したままになっていました。せっかくだから修理に出そうと思い立ち・・・。

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使い込んで軸が擦れてしまっているのが趣き深い。ある種、私の歴史。

プラチナ万年筆の#3776が登場したのは昭和53年、西暦でいえば1978年。勘のいい人ならわかるように、3776は富士山の標高ですから日本を代表するモノを目指すという意気込みで売り出した逸品です。記憶が正しければ最初の値段は1本1万円。現在私のと同じオリジナル版は2万円だそうですが、新しいのが1万円〜から出ています。

当時学生の私には少々お高い感ありで、いろいろ悩みましたが意を決して大学の時計台地下にあった文房具店へ。すると、もう値上がりしてるよとのことでがっかり。でも、文房具店の親父さん曰く、「在庫分があるから前の値段でいいよ」との有り難い申し出に小躍りして購入しました。イイ時代でしたね〜。

このペンは文章を書くというよりサイン書きに使いたかったので、選んだペン先は極太です。当時は万年筆がまだ筆記具の頂点。そういえば卒論も修論も万年筆で書きました。それまでパイロット、シェーファーやパーカー、あるいはセーラーの21金ペン先なんてのを使ってきた私でしたが、この#3776には何か運命のようなものを感じ、買おうと思ったのです(思い込みの強さはいまだに相変わらずですね〜)。

今年になってプラチナさんに電話したら、「百貨店の万年筆売り場にでも出して下さい、修理できるかどうか確かめて対処しますよ」とのこと。ラッキー。数日後、京都大丸の文房具売り場に持込み、先日修理品を受け取った次第。それにしても40年前のモノをきちんと修理してくれるというのが嬉しいじゃないですか。

久しぶりにインクを入れて書いてみると、極太のペン先の書き味はまるで毛筆ペン。スラスラというより、スイスイという感じ。そんな遙か昔に慣れ親しんだペンタッチをしばし愉しんでいるところです。それにしても、何かタイムマシンで手に入れたような感じが嬉しいのですが、一方で自分の年齢を感じてしまいモノ哀しさも感じているところです。