時をこえて

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SEASONS COLOURS-秋冬撰曲集-(初回生産限定盤)(スペシャルボックス仕様)♪秋は木立をぬけて、今夜遠く旅立つ・・・、そう唄ったのはユーミン。偶然、レンタルディスクに入っているのを30数年振りに聴きながら、ああ、もう30年も時が流れてしまったのかとセンチな気分。

ということで、懐かしい歌の話を少し。

・・・・・・・

あなたには人生のときどきで流れる歌の記憶、いうなればその時の情景がまざまざと蘇ることががありませんか?私にはそういうのがあります。

私の場合、最初に買ったレコードはメリー・ホプキンの「悲しき天使」。この歌のThose were the days, my friendで始まるリフレインとともに、家の近くのレコード屋さん、その隣の散髪屋さん、野間六つ角の風景と小学生の私まで瞼の前に現れますから不思議なものです。

♪あの日あの時僕らは人生を謳歌していた、ずっと続くと思っていた、選んだ道を進み、戦い、決して負けない、・・・でも若かった、うまくいくはずだったのに。ああ、それは過去のこと、もうずっと昔のこと・・・。ラ、ラ、ラ、ラ〜ララ・・・

mphopkins.jpg哀愁漂う、この手の「人生」に憧れたのか。はたまた、後で悔やむような生き方をしてはいけない等と考えるキッカケになったのか。当時英語もわからなかった頃、なぜこの歌に惹かれたのかわかりませんでしたが、改めて歌詞を読んで・・ああ、やはり・・・と思い当たること多々。

高校生の頃によく聴いたボブ・ディランの「Browin’ in the wind」(風にふかれて)やジョーン・バエズの「Where have all the flowers gone?」(花はどこに行ったの?)。それらにはギターを持って歌っていた高校生時代の情景がぎっしり。同じ頃、キャロル・キングやJ・テイラーのアルバムも良く聴いていましたし、ジョニ・ミッチェルの「Both sides now」(青春の光と影)はまるで人生の規範。また、はっぴいえんどの「風をあつめて」は最高でした。

要するに、この手の歌詞に嵌り込んだのも、自分が納得できる道を選ぼうともがきながら、風に吹かれたり集めたり、曖昧なものの行方を捜したり、人生を右往左往していたのでしょうね、きっと。

クリームやベック、ロックもうんとこさ聴きました。でも、なぜかしら気に入って聴き込んでいたのがユーミン。大学に入り、住まいを福岡から京都の下宿に変え、精神的にも金銭的にもあまり余裕がない頃はとくに。メッセージソングではないユーミンの歌詞が奇妙に頭の中に入り込んでいく、そんな感じでした。

misslim.jpgそしてまた、♪秋は木立をぬけて・・・(旅立つ秋 1974)等を聴きながら、30年以上の時間の経過に唖然。

その間、いったい何をしてきたんだろう?
いろいろやってきた、できるだけキライなことを避けて。誰が何といおうと自分で間違いないと思ったことをやってきたけど、意味のないこともたくさんやった。そして昨年死にかけた。幸い?!まだ生きている、これからどうなるんだろう等・・・とりとめのないことを考えてしまいます。

唖然といえば、いつの頃からか、「夜明け前にみる夢は正夢」と思いこんでいたんですが、なんとまぁこの歌の歌詞だったとは! あらま。歌の記憶がいつのまにか経験則に変化していたのですね。

1曲の歌のおかげで、しんみりあれこれ考えてしまう穏やかな午後。こういうのを幸せというのなら、メフィストフェレスが近づいてきそうです(笑)。