ミシェル・ブラ
2007/07/22
今秋フランスの某レストランに行こうと考えました。フライトはまぁいいとして、最寄りの鉄道駅から目的地まで約60キロ。その最寄りの駅までたどり着くのもかなり時間がかかります。行ったはいいけど帰るのも大変なので、連れ合いのせっかくの提案でもありましたが結局諦めざるを得ませんでした。その店の名は「ミシェル・ブラ」。知る人ぞ知る3つ星レストランです。
先日泊まった黒姫高原の「ふふはり亭」の本棚に「ミシェル・ブラの世界」なる料理本がありました。今まで何度も眺めてきた書棚なのに一度もその存在に気付かなかったのはなぜ? 女性下着の世界かと間違えてしまいそうな題名ですし、私自身、字面だけ見ても関心がなければ見えていないのと同じ、だったのでしょう。今回気付いたのはこのレストランに行こうと画策した経験があったからに他なりません。
「ミシェル・ブラの世界」(柴田書店 1993);在庫なしのようです。
本題に戻りましょう。このレストランはフランス南部のレイヨールという場所にあります。レイヨールといえば、ワインオープナー作りで有名なシャトー・レイヨール(あるいはラギヨール)の場所。トゥールーズから鉄道で最寄り駅まで行くか、あるいはリヨン側から回って近づくか、どちらかしかありません。飛行機でトゥールーズかリヨンに入っても、そこから1日がかりですから日本からなら約2日はみなければ辿り着きません。レストランの案内の中にヘリポートの説明がありましたので、超お金持ちはヘリで向かうのかもしれません(別世界の話ですね)。
このレストランは、地元の食材を生かし、味はもちろん、まるで芸術のようなレイアウトで料理を供することで有名です。シェフのブラ氏によると、レストランは舞台、調理スタッフはオーケストラ、主役は自然とのこと。いいですねぇ、この例え。
ある写真にあったガルグイユーについては、私自身、皿の上のアート作品かと間違えてしまいました。40種類の地野菜をそれぞれ調理して皿に載せたものだとわかった時にはホンマ「食べたいっ!」と思ったくらい。このお店で食すると、おそらく天にも昇るような至高の愉しさを味わえることでしょう。
天にも昇るといえば、レストランはレイヨールの山上に位置しています。そういえば、来年サミットが開催される洞爺湖ホテルのフランスレストランはブラの名前を借りたお店ですが、洞爺湖の雲の上の景色とレイヨールのブラ本店の景色には雰囲気的に共通点があるというわけでしょうか。
ちなみにミシュランの3つ星の定義とは、
Exceptional cuisine, worth a special journey
(特別に旅行をしても行く価値のある例外的な料理)
ですから、2日がかりの旅なんかは当たり前ということでしょうか(ためいき)。パリ市内はともかく、郊外や田舎の3つ星レストランはたしかにそうです。大満足の「ボワイユ・レ・クレイエール」(現在シェフが変わって2つ星)や昨年訪れたイタリアの「レ・カランドレ」も簡単には辿り着けません。でも、ブラはそれ以上に近寄りがたい。残念ながら写真だけで楽しむことにして、次に南フランスに出かける機会があることを願っておきませう。