ヒトはなぜ太るのか? その2
2013/05/16
Title: Why We get fat? and what to do about it
Author: Gary. Taubes
昨日紹介した「ヒトはなぜ太るのか?」があまりに面白いので、原著も入手。翻訳は2010年版を使っていますが、ペーパーバック版は2011年が最新版で、「よくある質問」が追加されています。ロジックは英語の方がストレートですから、2つ読むと理解が確実(になることもないかなぁ)。
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この本は昨日の原著です。最新版として追加されたのは「よくある質問」の章だけのようです。
その質問は全部で16コあり、
- 体重を減らすのにカロリーを計算することに意味はあるのか、
- 1970年代のアトキンスダイエットとトーベスさんの言い分はどこが違うのか、
- 糖質制限は食べるのを減らすという意味においてのみ有効なのではないのか、
- 著者のいう食事と原始時代の食事との違いは何か、
- 植物繊維や緑野菜を減らしても糖質制限は健康的なのか、
- 砂糖や単純な炭水化物が健康に悪い、飽和脂肪酸が健康に悪いというのは確かなのか、
- 痩せているのは理想的な健康状態なのか、
- 原始時代の食事を現代に当てはめるのは合理的なのか、
- 同じものを食べても太ったり痩せたりするのはなぜか、
- 果物のような未調理食品がなぜ最善の食事ではないのか、
- 健康を測る最も重要な指標は何か、
- 健康、たとえば心臓病のリスクやがんリスクを減らすのに関連のある指標は何か、
- 炭水化物を比較的たくさん食べる東南アジア諸国の人が米国人ほど太っていないのに、炭水化物が肥満等の原因だとどう説明できるのか、
- 糖質制限は「オールorナッシング」適用か、
- 運動や睡眠は体重コントロールや健康にとってどれくらい大切なのか、
- 糖質制限に切り替えて、それまでの高糖質食の有害性は改善できるのか、
となっています。本を読むだけでは明快になりにくい点や出版後著者に寄せられた質問について答えようという目論見のようですが、本文を読んで内容を理解すれば答は自ずから出てくるようなものがほとんど。
面白かったのは、先日私が触れたフレンチパラドックスについて、トーベスさんは「フランス人の砂糖の消費量は米国人の約半分だから、それで説明できる」と指摘していました。やっぱりなぁ。私の読みはぴったりでしたね。
同じ箇所で気になったのは、日本人は砂糖の消費量が米国人の4分の1(だから肥満が少ない)という話は既に状況が変わっているのではないでしょうか。日本食は健康的だというのも、砂糖いっぱいな現代日本食の正体がいずればれてしまい、世界からの信頼を失いそうな気がしてなりません。
ところで米国と日本の違いといえば、既に米国ではローカーボ( low carbo)という言葉がポピュラーになっています。炭水化物が少ない、ないしは炭水化物を減らしたという意味なのですが、たとえばハンバーガー屋さんに行って、ローカーボバーガーを注文したら、バンズ(外側のパン)の替わりにレタスを使っているモノが出てくるそうな。
その辺は日本よりも進んでいるなぁと思っていたら、この春から日本のモスバーガーでも同じことを始めました。時代は確実に動いていますね。ただ、この「菜摘」、バンズの糖質だけが減で、ソースには配慮がなさそうです。もっと進化してほしいものですね。
今まで私は、糖質制限のことをCarbohydrates restrictionなんて適当に使っていましたが、どうやらそれで正解だったようです(安心)。肥満や糖質制限絡みの英語を知りたい人には、用語集としても必携です。ただ、昨日紹介した翻訳本のデキがいいので、中身を知りたいだけなら、わざわざ原著を手に入れる必要はありません。
おまけ:
謝辞の中にナシーム・タレブさんの名前を発見。「ブラックスワン」のタレブですねぇ。著者とどんな関係があるのか知りませんが、おもろいなぁ。