愉しい非電化

.Books&DVD…

愉しい非電化エコライフ&スローライフを実現するというサブタイトルのついた藤村靖之氏の本です。電気を使わず、私たちの暮らしは成り立つのか否か。冷蔵庫、掃除機、除湿器などを電気を使わずに実現しようという実践を記したもの。電気を使う製品がいかに無駄な作りになっているかを説明する下りは秀逸です。…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
愉しい非電化   藤村靖之 著 洋泉社 2004年6月8日
ISBN4-89691-821-5

現代の暮らしがいかに電気なしでは成り立たないものなのか。夏の暑い日に停電したり、電気冷蔵庫が故障した経験がある人には身にしみておわかりのことだと思います。

考えてみると、電灯がなければ夜は暗くて暮らせない、電気冷蔵庫にTVやエアコン、掃除機、その他もろもろの電気製品がなければ、私たちの暮らしは一変します。パソコンだって使えないから、インターネットができないのはいうまでもありません。困ったことになりますね。いったいいつからこんなスタイルになったのか。電気なしでは暮らしは無理なのでしょうか。

いえいえ、私は電気を使う生活そのものを否定しようというのではありません。でも、心配なのは、電気に依存することに疑問を感じなくなると、いつのまにか電気を大切に使おうという気持ちは失せ、あるいは危険な原子力発電の容認という姿勢も醸成されていきます。それでは、資源の浪費や環境汚染に繋がるので、とてもエコとはいえません。少なくとも、なるべく少しでも電気に頼らないライフスタイルを選び取っていくのが、私たちに求められている賢明な暮らし方ではないでしょうか。

この本では、冷蔵庫も掃除機も除湿器も電気を使わず実現できるということを紹介し、そのモデル製品まで提示しています。そのことが、「新しい豊かさ」になるのだというのが著者の主張で、全く賛同いたします。とくに秀逸なのは、それら電気製品の原理を事細かに解説し、エネルギー効率がいかに悪いか、つかり、いかに電気エネルギーを無駄に使っているかを示している箇所です。

ただ気になったのは、製品使用時の電気エネルギーだけでなく、原料や材料、資材の製造に要するエネルギー使用量についても記載して配慮をして欲しかった。いわゆるライフサイクルコストへの配慮です。そうでないと、ソーラー発電のように製造時に発電10年分くらいのエネルギーを既に消費してしまうモノもあるからです。まぁ、これは望み過ぎかもしれません。また、著者が以前取り仕切っていた会社の浄水器ビジネスには私は疑問を感じていますが、それはこの本の内容とは関係ありません。

そういえば、拙宅にも手巻きハンドル発電方式のラジオ(ソニー製)、グリップ方式の発電機、それにソーラー発電機器いろいろ(ポータブルタイプから屋根上パネルまで)などいろいろあります。また、季節変化を考慮した家屋設計を行い、冷房エアコンなしで夏を(なんとか)乗り切ることが可能です。そういう意味では、ライフスタイルとしての非電化の実践を日々行っています。でも、冷蔵庫などを非電化するまでの根性はまだありません。私自身この本を読んで、もっといろいろ知恵を絞らなければならないという発憤に繋がりました。

電気をふんだんに使うことに少しでも疑問を感じる方、その暮らし方を少しでも変えてみたいと思っている方々には是非お薦めいたします。

アマゾンではこちら
bk1ではこちら