ラムロワーズ その2 Lameloise

.Travel & Taste

lamAmus2レストランは数区画に隔てられ、1区画に4~6テーブルづつ。今日は平日のためか6~7割方のお客さんの入りで、満席というわけではないようです。ようですというのは、お店の構造上正確なところはわからないから。全体の席数はかなり多いようですが、数区画に分けられているため、小さなレストランで食事しているような雰囲気で落ち着けます。それがここの演出の1つなのかもしれません。

テーブルについてさぁお食事かと思っていると、もう1つアミューズが出てきました。ズッキーニのピューレの上にチーズムースが乗せられ、見た目も綺麗で美味しい1品。真ん中はいわゆるエビフライなんですが、プリプリ感があり、定食屋のエビフライとは全く別物。右端のは何かのラビオリだったんですが、忘れました(苦笑)。


さぁお待ちかねの1皿目。オマール・ブルーをふんだんに使ったミルフィーユです。ラムロワーズのグラン・クラシック(偉大な定番)の1つらしい。トマトソースの上にオマールエビとハーブ野菜が重ねられ、ミルフィーユ仕立てになっています。写真からは大きさが伝わってこないかもしれませんが、結構大きく、十分な食べ応えがあります(フォークの大きさと比べてみて下さい)。


Millefeuille de homard bleu en salade d’herbettes
sur une émulsion de tomates

塩味は良い加減で、どちらかというと薄味。でもかえってエビの味わいが引き立ち、フレッシュなトマトソースと合わせると、ハーブの効果もあってか、サラダ感覚が際立ちます。それにしても贅沢なサラダだなぁ。メニューには書かれていませんでしたが、Sさん曰く、オマールはブルターニュ産とのこと。よい素材を使っていますね。さすがに定番なわけだ。ワインもお料理の味をしっかり盛り上げてくれました。

 * *

2皿目。連れ合いの頼んだのはアンコウのクロスティラント。辞書を引いても何も出てきませんが、ロール巻って意味なんでしょうか。さっきのオマール皿は先代シェフの定番ですが、これは今のシェフが考えた新しいメニューだとサロンでSさんに聞いたから、これを選んだのだと連れ合いは云いますが、はたしてお味は?


Lotte croustillante, marmelade de laitue & huile de curry infusion
de carottes au beurre persille

まず、お皿のレイアウトがすっきり決まっているのに感心。くるりと回して引かれた一本の修飾線がナイフとフォークを誘導するかのようです。ちょっと見えにくいのですが、一番下は美味しく味付けされ柔らかく煮込まれたニンジン。周りにカレーソースを乗せ、その上にアンコウの身をパスタ生地で包んだものが3つ。かなりボリュームあり。横にはパセリのピューレが添えられ、トッピングはフェンネル(ウイキョウ)の葉です。レタスのマーマレードとはこれ如何に?ですけど、イエローとグリーンの彩りが食欲を誘いますね。

アンコウといえば、日本では肝を食べたり、お鍋にしてお野菜と食すのが普通です。あとは、ブツ切りの身を揚げ物にするくらいかな。今回のアンコウのような食べ方は初めて。口に入れると、意外とプリプリかつ柔らかい。アンコウそのものの味というより、周りのソースや香草の味にバックアップされた上質の白身魚の美味さという感じでしょうか。ぐちゃぐちゃ云いましたが、美味しい(笑)。

おっと、連れ合いのお料理の味をなぜ私が知っているのかって?

それぞれ相手のお料理が気になったので、半分程度食べた段階でギャルソンにお皿を交換してもいい?と尋ねたら、「ウィ、もちろん」とのこと。彼は素早く2人のお皿を入れ替えてくれたのです。エチケット違反ではないかという思いもありましたが、他のお客さんも自由に同じようなことをやっています。お皿の交換は大きな音をたてたりオーバーにやらない限り、3つ☆級レストランでもオッケイみたいですね~。おかげで2皿分の味わいを愉しむことができました。

 * * *

一方、私が頼んだ2皿目はトリ料理。こちらも新しいメニューのようです。


Poularde de Bresse en deux services le suprême rôti au thym,
blettes aux éclats de noisettes,
la cuisse confite crème légère de pommes de terre

ご覧になればわかるように、お皿の上では何か鳥が飛んでいるような景色が展開されています。緑は草原、三角形の固焼生地は羽根のイメージなんでしょう、きっと。シェフの「遊び心」が愉しいですね。

さて、胸肉のロティ。ロティというのは液体を用いず直火で焼いたり、オーブンで焼いたりする調理方法です。油が抜けてさっぱりした仕上がりになるので私は大好き。薄緑色の付け合わせは、メニューによると、タイムとふだん草をピューレ状にしたものなのでしょうが、あまり香草的な感じはしません。口に入れると、お肉の皮はパリパリ、中の身はしっとり柔らか。焼き加減が上手い。どちらかというと薄味ですが、なかなか美味です。目で楽しみ、口で味わうというわけですが、香りの印象がほとんど残っていないのが残念。

lam2nd3このお料理はメニューにあるように2本立てになっていて( deux services )、最初の胸肉を食べ終わる頃に、もう一皿がテーブルにやってきました。パリッと焼いた鶏の腿肉にジャガイモのピューレをあわせたもの。美味しいのは美味しいんだけど、鶏の腿肉に味付けされているのでピューレの分の塩味が余分なような気がしないでもありません。惜しいな。また、乳脂肪の比較的少ないクリーム(crème légère)とはいえクリームはクリームですから、どうしてもこってり感があります。好みとしては、もう少し軽めでもいいのかなぁと思いますが、メインのお皿なのでしっかりした味付けにするんでしょうね、きっと。

ちなみに、このお料理も夫婦で取り替えっこして愉しみました。ポテトピューレは連れ合いの大好物なので、連れ合いは私よりもこのお料理の評価が高かったようです。

 * * * *

まぁ1皿目も2皿目も相当なボリュームで、私たちは十分お腹がふくれて大満足。でも、隣近所のテーブルに供されるチーズが美味しそうだったので、それぞれ少しづつ注文。二人とも食い意地が張ってますねぇ~。連れ合いは定番の「ブリア・サヴァラン」他1つ、私はギャルソンお薦めの3種をいただきました。
lamchez

lamPredesそれからデザート。それぞれ選んで待っていると、まずプレデザートの登場です。お口直しのシャーベットにプチフール。デザートを食べるためにはここが我慢と、小菓子には手をつけませんでした(笑)。

案の定、デザートもかなりのカロリーがありそうな感じ。連れ合いはイチゴとチーズを使ったもの、飴細工が雰囲気を盛り上げています。

lamDes1

私のは登場した時には白いフードに隠されていましたが、中には桃やナッツ等の果実を使ったもの。軽めに仕上がっていたのでペロリといってしまいました。その後コーヒーを飲んでお開き。

lamDes2

帰りはさすがに電車というわけにもいかず、タクシーを呼んでもらい、一路ボーヌの宿泊先ホテルへ。

ラムロワーズの料理って煎じ詰めれば、堅実な・当たり外れのない美味しさといったらよいのでしょうか。エッジの際立った味を追及するのではなく、安心して食べられる最高の美味しさを目指しているのかもしれません。場所柄なのか、それとも戦略的理由からなのか、パリの3つ☆と比べると値段が安く、比較的気軽に愉しめます。私たちも美味しいお食事を愉しませていただき、ありがとうございました。

Lameloise 
MENU DÉGUSTATIONは150€(2010/09)、MENU DE L’INSTANTは126€、アラカルトは40€〜70€程度。HPはこちら