ミミちゃん大奮闘

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私自身、ミミズには少なからず思い入れがあります。
学生時代、ダーウィンの本で面白いものを買い求めました。題名は「ミミズと土壌の形成」(渋谷寿夫訳、たたら書房)。ミミズの生態学に関する本です。これがなかなか印象に残り、今でもときどき本を開くことがあるくらいです。


  また、これも学生時代だったんですが、ある映画を観にいった時、その併映で「幸福の旅路」(幸福への旅路だったかな)というのをやってました。ベトナム戦争で疲れ果てた青年が故郷に帰り、ミミズで土壌改良を行う商売をやる友人の手助けをしようということで友人宅へ旅していくというストーリーでした。筋も面白く、映画の最後で流れるカンサスの歌が素敵でしたが、ミミズで土壌改良というのにも興味を覚えました。

  さらにまだミミズには縁があります。大学院時代、大規模な流域下水道計画が環境破壊に繋がるということでいろいろ活動したり発言していましたが、これが土壌浄化法の開発者である新見正さんの目にとまり、いっしょに米国での水再生利用の実態調査にお供させてもらいました。その時以来、新見さんのいう、土壌ではいろんな微生物やミミズまでもが処理を担うという意見に、いたく感激していたことをよく覚えています。

  そして、88年にドイツを訪れた時、ミミズを売る商売があり、それで家庭の生ゴミを食べさせるをいうのを知りました。先の映画の世界が現実にあったわけです。その時は、ドイツは進んでいるなぁ位の感想しかありませんでした。
  ところが、日本にもミミズを売る人がいたんですね。12年後の2000年、今年の話です。朝日新聞に紹介されたのでご存じの方も多いと思います。 相模浄化サービス が販売元です。早速私もそのミミズとミミズを入れる容器、キャノワームを注文しました。
やってきたのは、大きな段ボール箱が2ツ。
1つはミミズ容器とミミズ、もう一方は
ミミズが作った土壌2袋でした。
すぐに説明書通りに、ミミズを入れて生ゴミを
食べてもらうことにしました。

いや、生ゴミという言い方は正しくありませんでした。ミミズにとっては、ゴミではなくエサそのものです。腐ったものはダメ、辛いものも酸っぱいものもダメ、農薬や合成洗剤もアブナイものはみんなダメ・・・、まるでお毒見役のようで頼もしいですね。
おまけに歯がないので細かく刻んだ方がいいということで、なかなか世話のやけるムシです。でも、その代わり、よく食べてくれます。もともとわが家では、生ゴミを腐葉土と混ぜてコンポスト化していましたが、これは後で養生する必要があります。しかし、ミミズの方は糞が土そのものなので、簡単といえば簡単。ニオイもありません。考えてみると、凄いことです。
キャノワーム容器
ミミズの棚が4段あります

光に弱いので下に潜ったままですが、
写真用に表に出てもらいました
わが家ではミミズをミミちゃんと呼んでいます。ホンマはミミちゃんズでしょうが、そこは気にしない。育て方も解説書とは違って、新聞紙を使わず麻布をかぶせて湿気保持に努めています。だって、新聞紙のインクまで食べていいわけはありません。相模浄化サービスさんに相談したら、麻布もいいとのことでした。麻布は正解だと思っています。

ミミズのために野菜の残りカスを細かくしたり、食べやすいように選り分けたり(排除したものはミミズを使わないコンポストに)、まぁ楽しい手間がかかりますが、ミミズが元気にしていると、ホンマに面白い。機械式の生ゴミ装置では絶対に得られない愉しさでしょう。 ’