TOTOのお知らせ

Water

 鉛問題続編です。TOTOの鉛対策については、2月21日のフジTVや別所で軽く触れましたが、もう一度整理しておきましょう。

 ほとんどの人が知らない(でも、知る人ゾ知る)鉛入り銅合金問題のひとつに、水栓金具などの問題があります。1992年の鉛水質基準改訂時では、塩ビからの鉛溶出は問題になっていますが(でも放置した)、銅合金製品からの鉛溶出は俎上にも上がっていなかったらしく、つい最近まで全く手つかずのままでした。

  ところが、1996年に米国の水道法(Safe Drinking Water Act)が改訂されて、給水装置については1998年から鉛溶出基準0.011ミリグラム/リットル以下が採用されたため*、鉛含有の給水装置は使用できなくなりました。日本の関連企業も慌てて鉛対策に取り掛かざるを得なくなったというわけです。
  TOTOもこの2月に「’00年4月より鉛溶出低減水栓を出荷します」という内容を報道発表しています。溶出する表面鉛を取り除き、それ以外の鉛は溶け出さないように加工するという処理技術を開発したとのこと。そこには、従来製品では0.047ミリグラム/リットル以下の溶出だが、新製品では0.010ミリグラム/リットル以下で5分の1に低減と記載されています。今皆さんのお使いの水栓からは条件によっては鉛が現行基準程度出てくるという事実をTOTO自身が認めているわけです。鉛の危険性をいくら主張しても、おまえは分析したわけではないだろ?危険危険と人を煽るな・・・なんてことを言われ続けてきた私からすると、何か肩すかしみたいな「事実発表」ですが、消費者は完全に蚊帳の外だったということには変わりありません。厚生省も各地の水道当局もこの事実を過去に公開したことはありませんし、不勉強のゆえ知らない水道関係者も多いはずです。

  勘のいい方から既に気付いておられると思いますが、鉛入り銅合金給水装置は水栓だけではありません。継ぎ手やバルブ、その他、銅鋳物、黄銅製品、青銅製品のものはまだまだたくさんあります。それらはまだまだです。一部鉛をほとんど含まない製品を(株)キッツが出したことについては既に触れましたが、全く一社だけという寂しい有様。今後もっとたくさんのメーカーが鉛対策を採ることを期待したいし、設計者や工事関係者も鉛の入らない製品を積極的に使用していただきたい。消費者も鉛のない製品を選択して、危険な鉛入り製品を市場から閉め出していきましょう。そうでないと、鉛汚染の水道水は改善できません。

*米国の鉛溶出基準はちょっと複雑。これをそのまま基準値として使うのは要注意ですが、ここで説明するのは面倒なので省略。近いうちにどこかの原稿できちんと説明します。 ’