インドシナ

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こどもの頃から疑問に思っていたことがいろいろあります。インドシナもその1つ。
インドシナ半島という場所があるのは小学校の時に知りましたが、なぜインドとシナ(チャイナ)という2つの国名が合体しているのか、ということ。あの辺りが2国の境界だったのか、それとも何か他に意味があるんだろうか。今秋ベトナムへ旅行へ行くことにしたので、ここ数ヶ月関連本を読み漁っていて答を発見しました。

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インドシナとはインドシナ半島のこと。タイ、ラオス、カンボジア、ビルマ(ミャンマー)そしてベトナムという国がある場所です。それなのに、インドと中国(チャイナ)でインドシナという名前がついています。

なにゆえインドシナなのか。こどもの頃からのその疑問は司馬遼太郎さんの本で解けました。司馬さん曰く、

近代以前に、アジアで王朝国家を作る形式は、二種類あった。ひとつは中国式で、一つはインド式である。(中略) 
インドシナ半島にあっては、ラオスやカンボジアなどがこのインド式で王朝をつくり、半島の東岸を領域とするベトナムだけが千数百年来中国式で王朝をつくってきた。西洋人がつけたインドシナ半島という名称は、二通りの文明の形態がこの半島に同居しているという点で、偶然の呼称ではない。(出典は司馬遼太郎『人間の集団について』中公文庫)

人間の集団について―ベトナムから考える (中公文庫)

まず、インドシナという名称は西洋人がつけたものだということ。地元が昔からそう言っていたわけではないのです。当たり前といえば当たり前。

次にその地域の文化がインドと中国の二国の影響を受けていると西洋人が判断したことによる命名だったというわけです。なるほどなるほど、だから二国の名前を合体させたわけですか。

知識便秘が1ッコ解消しました(苦笑)。それにしても、インドシナという呼称の背後にそんな文化論的配慮があったとは不勉強ながら驚きます。

ところで、この地域を巡る情勢は昨今ややこしい。中国がその経済力を基盤にしてインドシナ各国を支配下に置こうと画策しているからです。

たとえば、中国はベトナムを「兄弟」などと言って持ち上げますが、南シナ海に人工島を造成しミサイル基地を作るなどでベトナムとの軍事境界を拡大しているところをみると、本音は違うと考えざるを得ません。厄介だな。