FreeStyleリブレでわかったこと その2

.Lowcarboあるいは糖質制限 FreeStyleリブレ SMBG

FreeStyleリブレの連続モニタリングに関する続き。
先の疑問の4番目〜6番目、つまり食後血糖値の上がり方に関する疑問解消への足がかりは掴めるのかどうか。モニタリング期間中に訪れたレストランの食事を取り上げてチェックしてみます。

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先に示したように糖質を抑えた食事を摂る限り健康人の血糖変動と変わらない私ですが、糖質の多い食事にすると様相は一変し、境界型(もどき)の姿をいやおうなしに現します。

2人分の朝食。パンは1人分にしてもらいました。

まず、3月5日の朝食からみていきます。この時の朝食はコンチネンタルスタイルに卵料理が付属したもので、場所は奈良県桜井にある「オーベルジュ・ド・プレザンス 桜井」。ひらまつが指定管理者のレストランです(注1)。

9時に朝食の席につきました。ジュースは糖質いっぱいなので20cc位で寸止め。でも、続くカリフラワーのスープがなかなかの味わいだったので、3分の1くらいで止めるべきでしたが、つい飲み干してしまいました。


エッグベネディクト

卵料理は安心かと思いきや、エッグ・ベネディクトにしたことでパン付き。止めときゃいいのにポーチド・エッグが滲み込んだパンが美味しそうだったので、禁忌を犯して下敷きのパンまで食べてしまいました。その後勢いでクロワッサンを半分、もう1種類のパンを半分位食べたのでここまでで糖質30g位でしょうか。フルーツやヨーグルトまで合わせると、ざっと40gプラス。ふだんは糖質に気をつけていても目の前の御馳走に幻惑されてしまうのが人のサガ(哀)。その結果が次のグラフです。


食べ始めは9時10分くらい、その時の血糖値は100ちょっと。30分くらいかけてゆっくり食べてピークは2時間後の11時15分くらいで血糖値が192。健康人の変動域である140を見事に突破しています。

二型糖尿病患者は1gの糖質摂取で3mg/dlの血糖値上昇があるとされています(標準仮定)。私の場合は過去のSMBG(自己血糖測定)では3ではなく2.5くらいかなという感じですが、もし糖質40gなら100前後はアップすることになり、上記ピークの192はまぁそんなものかなとも思います(でも高いな)。一食の糖質40gを真に受けていると毎食180超えで早晩合併症になってしまいそうです(注)。

厄介なのはピークが1時間ではないこと。でもよくよくグラフを見ると、最初のピークが10時半過ぎ、もう1つが11時15分くらいで、それら2つのピークが合成されているようにも推測できます。食事といっても一気に食べるわけではありません。この時の食事では最初のスープとパンで1つ、次のパンとフルーツで2つ目の山が出てきたと考えれば、そんなものかな、ですね。

ということで、Q4の「食後血糖値のピークは1時間と云われるが私の場合2時間目くらいがピークの時もあり」とは、FreeStyleリブレの連続測定から推察すれば1時間ピークの合成かもしれないなぁと思う次第。


「地元野菜の田園仕立て」。ミッシェル・ブラのお皿のオマージュでしょうか、見た目味わいとも絶品でした。

次にその前の晩にとったフレンチのフルコースについて。簡単に紹介すると食べたのはフレンチディナー。牛蒡のスープから始まり、野菜を使った前菜は見た目も美しく食欲をそそります。


お魚は平目のボローバン仕立てに浅蜊のスープ、お肉は鶏肉が2品仕立て。1皿はリゾット入り。それにデザートが大きなイチゴ(あまおう)とスイーツの2つ。最後のコーヒー・紅茶には小菓子つき(小菓子は食べず)。どう控え目に見積もっても糖質は50gを超えています。しかししかし、私の血糖値は次のグラフの通り。そんなに上がりませんでした。嬉しいんですが、なぜ?


ディナー開始は18時半。その時の血糖値は107でした。ピークは156で20時頃に出ています。最初はアペリティフのシャンパンをちびちび飲みながらで前菜は19時頃。したがって1時間後にピークということになります。でも、前菜から主菜、その後スイーツと糖質が多いものをクチにしているのに血糖値が上がっていないのはなぜか。何処に消えたのでしょうか。過去のSMBGでも何度も経験してきた不思議がこれで、先の疑問のQ5やQ6の通りです。

Q5)糖質が多いお寿司やフルコース料理でも食後血糖値がそれほど上がらない。どうして?
Q6)糖質量は同じくらいでも食後血糖値の上がり方がかなり違う時がある。

最初にシャンパン1杯、食中に白ワイン2杯、赤ワインが1杯ですから1人ボトル2/3本程度。お酒の影響で肝臓での糖新生によるプラス分がなくなったとしても、体の中にたっぷり入れた糖質はどこに消えたのか。飲酒で消えるはずはありませんからインスリンの仕業しか考えられません。
でもこちらのインスリン分泌は不十分で食後血糖値はスパイク状に上がるはずなのにそうでもなし。この点ずっと疑問でしたが、連続的な血糖値変動のグラフを見ていて、確信めいたものが見えてきました。


グラフからもわかるように、ピークの後の下がり方がゆっくりで裾野が広がり、落ち着くのに時間がかかっています。つまり、血糖値のピークが裾野の拡大という形で後ろにずれています。その理由として考えられるのは、まず食事の時間が2時間以上と長いこと、一皿一皿がそれなりのインターバルで出てくるため糖質の摂食が連続的ではないこと、加えてお酒の影響等々でインスリンの分泌(第二相)がなんとか間に合い、その結果血糖値のピークが後ろにずれて緩やかに減衰していったのではないでしょうか。


もしそうだとすると、糖質の多寡だけでなく食事のスタイルや内容、食事にかける時間、そしてアルコールの有無・飲み方も血糖値のピークを抑え変動幅を小さくするのに少なからず影響を与える、ということになります。SMBGで掴んだ感触通りですが、FreeStyleリブレの連続データでみるとよりはっきりしてきました。次回は再度このことを別のレストランでの結果を使って紹介します。

(注1)糖質制限のフレンチといえば東京にボタニカがありましたが、いつの間にかひらまつ傘下。名前も変わって新オープン。糖質制限はどこへ?
(注2)ロカボと称して1日130gの糖質量を推奨する医者がいますが、インスリンや薬で高血糖を防ぐことを前提にした食事方法でしかありません。要注意。