今そこにある危険(ヒ素)

Water

 ヒ素が囂しい昨今ですが、水道水中のヒ素もかなりの危険であることを御存知ですか?

無機のヒ素については無作用量は存在しません。発ガン性物質だから。しかし、このことを重視すると、ありふれたヒ素が「水道水中にもありふれた存在」であることと抵触するため、一切知らないふりをするのが日本だけでなく世界的な現在の水道行政の趨勢です(哀)。
 ヒ素の水道水水質基準は0.01mg/l以下となっていますが、これは一般毒性試験の結果より得られた知見から導き出されたもので、発ガン性を考慮したものではありません。現在までに得られた知見を使えば、この0.01mg/lでは一生涯ガン発生危険率で6 x 10のマイナス4乗、つまり、1000人に0.6人が発症といことになります。これはデカイ。一生涯10万人に1人程度というトリハロメタンのガン危険率が完全に霞んでしまいます。日本のヒ素基準、もっと強化すべきだという議論もあったそうですが、厳しくすると困る某水道局が反対に回ったとかという噂も聞いています(本当だったら犯罪行為だ)。
ちなみに、日本の水道水データではこの0.01mg/lを越える個所が数十個所もあり、完全に「あぶない水道水」となっています。しかし、問題にならないのは、ヒ素があまりにありふれた毒物だからタカをくくっているからではないでしょうか?あ、そうそう、昨年末くらいの朝日新聞に京都の長岡京市の某工場地下水で16.3ppmなんて高濃度のヒ素が出ていたとの報道がありましたが、あの辺の水道水にどう影響しているのでしょうか。ヒ素に対する危機意識があれば、もう少し違った報道もあったような気がします。
 ヒ素を舐めてはいけません(文字通り舐めたら死にますが、そういう意味じゃありません)。ダイオキシンや環境ホルモンのような曖昧でリスク計算もできないような危険性よりも、「今そこにある危険性」を問題にすべきではないでしょうか。