今そこにある危険(鉛)

Water

 前項のヒ素以上に現実的に問題なのは、鉛です。この危険は確率的なものではなく、絶対的な危険で、あなたの水道水にも入っている可能性が高い。だって、この国では未だに鉛の水道管が使用されているし、家庭内の配管にも鉛が使われ、塩ビの安定剤等にも鉛が含まれているからです。

 厚生省が定めた水質基準は0.05mg/l、WHOが提唱する0.01mg/lより5倍も甘い。この違いというか、基準の作為的欺瞞性は拙著『あぶない水道水』で解説した通りですが、簡単に要約すれば、WHO基準と同じにすると全国で違反となってしまう水道が数百ヶ所も出てくるというのが本当の所ではないでしょうか。その結果、一部の消費者は危険な鉛を毎日飲まされてしまうということになってしまいました。水道事業体の側に危機感が希薄なのは、全くの不勉強ですが、きちんとした毒性情報を伝えず、安易に水質基準を策定した厚生省やその審議会の委員らの責任はAIDSの非加熱製剤事件と合通じるものがあります。鉛が厚生省基準以上に含まれている危険個所では(不本意ながら)浄水器でも何でもつけて対処した方がいいと言わざるを得ませんが、そういう都合の悪いデータはだいたい隠されているので、一般の消費者が確認しようとしてもなかなかわからないのが難点です。
しかし、鉛も問題になりませんね。マスコミ関係者にも口を酸っぱくして指摘しているんですが、誰もが(マスコミ各社が)鉛を舐めきっているようです。結果、普通のヒトはまさか水道水中の鉛がそんなに問題だとは知らずに、原因不明・神経性の症状に悩まされることになるんでしょう、きっと。はっきり言って、わたしゃ知らんゾ状態。この問題の解決を進めるには、水道料金不払いか何かで対抗するしかないのかも。