超インフレの準備 その2

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前回、不動産や株はハイパーインフレが起きた時にはすぐさま生活の糧にはなりにくいことを指摘しました。対応する時間の長さ(タイムスパン)が違うからです。したがって、実物資産について、日々の生活とくに衣食住の実際に引きつけて検討しておきましょう。

むしろ、不動産や株に縁がなくても日常生活を恙なく送ることができればいいわけで、そういったハイパーインフレへの対応はある程度は可能だと私は考えています。今回はそのことについて。

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何はともあれ健康が大事、前回そう書きました。ここで、健康とは何か。WHOの定義では以下の通り。

「完全に身体的、精神的及び社会的に良好な状態で、単に疾病又は虚弱のないことではない」(WHO憲章前文)

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

ただ単に肉体的な健康だけではなく、メンタル的、社会的にも健全であること、とされています。この意味合いで言えば、大混乱期でもいわゆる身体的な健康をキープし、あるいは何らかの手段で補完しながら、精神的にストレスが少なく、社会的にも健やかに暮らすにはどうしたらいいのか。

15118cそして、併せて検討すべきは時間幅(タイムスパン)。つまり、ハイパーインフレの混乱期をどれくらい見積もればいいのか。数ヶ月なのか数年なのか、はたまた10年以上の期間なのか。たとえば大混乱が2~3年間続くと考えるなら、その期間をやり過ごす対策が必要となります。その想定期間の中で、日常の衣食住それぞれについて必要なモノを充実させておくというのが得策になるのではないでしょうか。

衣服はどれくらいの期間で買い替えますか。上着などはあまり気にすることはないでしょうが、下着や靴下など日々消耗する衣類は年間どの程度購入するのか、ご自身のことを思い描いてみて下さい。何年も使い続けるから大丈夫と応えたあなたは堅実派(立派です、見習いたい)。でも、いずれ必要になるものなら、お金の価値がある間に用意しておく方が良いのではないでしょうか。

食はどうか。生鮮モノは鮮度が問題になるのでストックはできません。賞味期限があるものは保存に限度があります。農作物を作ったり沿岸で海産物を採っている人たちは別として、都会の生活者が食料の確保を充実させるのはなかなか難しい。家庭菜園の野菜はたしかに有効ですが、それだけで日々の食を賄うのは難しい。

一方、乾燥食材や缶詰のようなものはストックできます。お米やパン材料、乾燥パスタ類はいろんな種類があり缶詰も肉魚と多彩ですから、ストック量にもよりますが、大混乱時に食料の買物を幾分か軽減回避できるのではないでしょうか。これらは確実に気持ちの余裕を生み出し、ストレスの少ない生活に繋がります(注)。

住についてはどうか。家のローンなどの議論は他書に任せ、日々の生活で必要になる備品のストックについて。たとえば炊事や掃除洗濯用品、あるいはトイレットパーパーや洗面道具等々、のことです。これらは価格が大幅に騰がってから、あるいは大勢の人が殺到してから手を出すのは鬱陶しいしストレスになるので、今から少しづつストックを作っておくのがいいでしょう。

15118b住については、さらに時間軸を伸ばしてみましょうか。数年先に国債を買うお金が尽き、大混乱時代がやってくると考えるなら、この先10年くらいで必要になる住宅の改修や設備のやり替えなどを前倒しで検討してみてはどうでしょうか。

たとえば、住宅の老朽化や劣化でやり替え必要箇所があるのなら、早めに工事を進めた方が無難です。同じく住に必要なエアコンや暖房器具、あるいは冷蔵庫、洗濯機その他もろもろの電化製品で耐用年数が来ている場合や近いうちに交換時期が来るモノについては、前倒しで交換を検討した方が良さそうです。これもまた、価値のなくなるお金を価値ある資産に置き換える行為になるからです。

勘の良い人は上記の話が地震などの災害時対応と同じようなものだと気付いたかもしれません。その通りですが、いくつかの点で違いがあります。

地震などの災害時なら数日~1週間程度の水や食料をストックしておき、後は救援や支援を待てばよいのですが、ハイパーインフレでは日本全国津々浦々どこも艱難辛苦で、他からの救援や支援は期待できません。どうしても自分の才覚で乗り切るしかないのです。これは肝に命じておかねばなりません。かくいう私は、昨年末から災害時の備蓄物品の見直しを始め、より時間幅の長い備蓄に切替始めました。

以上、まず、価値の下がるお金を(日々の必要金額分を残して)実物資産に替えておく。これが王道です。不動産や株というのもアリですが、ハイパーインフレに耐えるモノを選ぶ目と資金が必要になります。それが適わない場合でも、できる限りの衣食住対策を用意しておくのが良いのではないか、というのが私の言い分です。後者は庶民の実物資産確保。たとえ蟷螂の斧であろうと、あるとないとでは大違い。大混乱の衝撃を和らげ、いざという時に心の余裕を生み出し、総じてストレスを減らすことになるからです。

さらにいえば、交友関係の重要性。混乱期には相互扶助・援助がどうしても不可欠です。個人の力ではどうしようもない時でも人数を集めれば何とかなることがあるだろうし、大勢の知恵や知識が役立つ局面は多そうです。健康と交友関係は生き残るための基本だということを忘れないで下さい。

15118aもう一言。ハイパーインフレで世の中が大混乱に陥るなんて勝手な妄想だと思う人は、どうぞ私の話を笑い飛ばして下さい。でも、お金はだんだん「木の葉」になりそうだ、国は何か変なことをしそうだ等と考える人で、お金や時間に余裕がある人は行動に移しましょう。

ハイパーインフレで大混乱の時代になってもお金を稼ぐ手立てがあれば、インフレに応じてお金を得ることができます。過渡期に生活が苦しくなっても何とか追いつけるかもしれません。でも、大混乱で失業し再就職できなかったり、年金生活者だったりすれば、手持ちのお金や年金等が「木の葉」になるのをただただ眺めておくことしかできません。それがイヤなら、知恵を絞って対応策を検討されることを強くお薦めします。

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(注)何らかの疾病があるなら、それに応じた食の対応を考える必要があるでしょう。たとえば、糖尿病やその予備群な人は炭水化物中心の食事というわけにはいきませんので、その辺を考慮した食材ストックということになります(これは後日また)。