またもやプール飛び込み事故 2014

プール事故

kui1407昨日から気分が鬱陶しい。またプールで飛び込み事故が起き、中学生が頸椎骨折の重傷を負ったとのニュースを聞いたからです。
現場の体育教師が文科省通知を知らずに生徒に飛び込みをさせたのが原因とのことですが、それではプールの本質的な危険性にまたフタをしてしまうだけ。



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poolBook夏が来れば思い出す・・・ではないのですが、6月7月になると今年こそプール事故は起こらないでほしいと思います。でも、なかなか叶いません。今回の事故にも暗澹たる気持ちになりました。

なぜプールの飛び込みスタートで事故が起こるのか、現場の注意義務では防げない等々については繰り返しになりますのでここでは触れません。拙著や過去の書き込み等を参照下されば幸いです。

今回のは、

2014年7月4日、名古屋市立昭和橋中学校の水泳の授業中、飛び込みの練習をしていた2年男子生徒がプールの底で強く頭を打ち、頸椎骨折、脊髄損傷の障害を負いました(名古屋市教育委員会発表から要約)。

この事故について市教委は、

平成24年度の学習指導要領の改定で、小中学校の授業中の飛び込み指導は禁止されており、記者会見した渡辺校長は「大変申し訳ない」と謝罪。(産経新聞 2014.7.5)

とし、現場の教諭が改訂通知を知らなかったのが原因であるかのような説明をしています。でも、これは変です。

テレビや新聞をざっとチェックしてみましたら、プールの水深が1.2m、飛び込み台の高さが25cm、飛び込み台は水面から40cmとのことでした。とすると、被害者生徒の身長がそれほど大きめでなくても頭を打つ危険性は高いというべきところです(中日新聞、読売新聞の記事から数字を拾いました)。

プール水深が1.2メートルである以外はわかりません。、飛び込み台が25cmとのこと。でも、事故当時の実際の水深、飛び込み台の有無と水面からの高さ、飛び込み台の使用の有無、被害生徒の身長などのデータと合わせて考えないと、当該プールの危険度の大きさはわからないのです。
もし今回の事故を真摯に問題にしたいメディアがいるのなら、上記データを入手して今回の件が現場教諭だけに責を帰すべき案件なのか、そうでないのか、を追及していただきたい。

今まで私は学校プールの水深や飛び込み台などの設計のまずさが、数々の事故を引き起こしてきたことを指摘してきました(拙著『あぶないプール』など)。

現場の教師や監視員の注意義務では到底対応できないレベルの危険性なのに、本来の責任主体であるプール管理者側は、とかげの尻尾切りのごとく責任は現場に押し付け、プールそのものの危険性を隠蔽してきました。被害者や遺族がプール設備の瑕疵を問題にしても、この国の裁判所はほとんどが知らん顔を決め込んできました(例外は1993年埼玉県浦和地裁判決)。

いつまで経ってもプール事故が終息しないのは、そういった責任回避をする人たちの作為で本当の危険性が温存されているからなのです。今回の事故を契機に危険性の実態を明確にし、今後の対応をしてほしいものだと強く願う次第です。

ajisai14a

・・・妥協のプール水深 へ続く