どさくさ
2013/12/03
新聞テレビが報道しなくなると、食品偽装もどこへやら。あたかも事件が無くなったかのような雰囲気になるから不思議です。下請け孫請けのより零細企業にしわ寄せがいっただけで本質的原因は解消されず、ホンマは終息なんかしていないはず。それにしても、うちもうちも発表した後発発表組の企業はなかなか狡賢いというべきか。
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最初は阪急阪神系ホテルの話から始まった食品・食材偽装。責任逃れなのか、当初は誤表示などと言い換えて誤魔化すことにやっきになりましたが、出てくるわ出てくるわ。いつのまにか全国津々浦々のホテルや百貨店、有名料亭・レストランなどまで飛び火する始末と相成りました。要するに、ほとんどの販売店で似たようなことをやっていたというわけです。
なぜそんなに食品偽装が出てきたのか。ゴマカシ自体は数年来・数十年来のことで、ここ最近の話ではありません。そこが今回の一連の事件を読み解くポイントです。
まず、TVや新聞で阪急阪神ホテルやリッツの話が大きく取り上げられました。社長が頭を下げ、世間が騒ぎ怒り呆れるという流れの中で、他にも似たような店はその時どう考えたのか。特定の店とくに自分の店だけなら風当たりはモロだが、たくさんの店の1つなら世間の矛先を分散できる。今出しておけば何とかうまく切り抜けられるのではないか、・・・そんなことだったのではないのか。
かなり前になりますが、ミネラルウォーターにカビが混入していた事件を覚えていらっしゃいますか。1995年9月頃から某ミネラルウォーターに異物が混じっているという話が報じられたのをきっかけにして、多くのミネラルウォーターからアオカビが見つかった事件のことです。(詳しく知りたい人は拙著『あぶない水道水』をご覧下さい)
おそらく事件はそれ以前からもあったのでしょうが、マスメディアが騒ぎ出して調べてみると、あれもこれもで多くの商品でも見つかったという流れでした。
ここで興味深いのは問題が一社だけでなく、ほとんどのメーカー商品にカビ、異物、プラスチック片が見つかったということ。そうするとどうなったか。
特定品の責任問題ではない、みんな同じなんだと世間は受け止めます。本来原因をきちんと究明しなければならないはずなのに、問題の責任は希薄化し、雲散してしまいました。おそらく食品関連企業はそういうことをしっかり学んでいるのでしょう。それが今回の食品偽装でもいかんなく発揮された、つまり赤信号みんなで渡れば怖くない、ということなのです。
商売は信用一番。なのに、どさくさに紛れて食品偽装を発表した後発組の中にはそういうヨコシマな会社も含まれていたのではないかと思う次第。
(追記)某トンカツ屋さんの件は偽装ではなく、ほとんど難癖付け。あれがダメならホテルのブッフェはすべてアウト。マスメディアの話をそのまま鵜呑みにしてはいけない事例の1つです。