埼玉プール事故:問題なのは注意義務だけではない

プール事故

バタバタしているのでとりあえず要点だけ。先週ふじみ野市のプール事故発生の後、メディアは管理請負会社の無責任さや監視員の業務不履行を問題にしていますが、責任を論じるならこれでは話半分。プール施設の瑕疵(かし)についてもきちんと問題にしなければ根本的なところで問題を放置してしまいます。…

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プール施設に瑕疵(かし)があったのかどうか。
瑕疵とは、「その物が当然有すべき性質を有しないこと」を指します。今回のように簡単にはずれてしまう吸水口のフタ(安全柵、防護策、いろいろな呼び方がありますがいっしょ)について云えば、そういうフタにしていたプールの設計自体が大問題なのです。針金で止めていたという安全柵。でも針金でしか止まらないような構造にしていた責任、それを放置していた責任はいったいどこにあるのか。もう私の云いたいことはおわかりですね?  少なくとも現場の監視員ではありません。

あのような危険なプールを誰が設計したのか、それを建造したのはどの会社なのか。そしてそれを許認可していたのはいったい誰か?(認可したのはご当地の保健所ではないですか!)監視員や管理会社の注意義務だけでは今回のような問題は防げません。メディアはまだまだ根源的な大犯人を燻りだしていない。一過性の事件にせずに、もっと真摯に取り組んでほしいものだと強く期待しています。

ちなみに法律的にいえば、瑕疵があった場合、国公立プールでは国家賠償法第二条を根拠にした損害賠償となり、私立や民間プールでは民法第717条(工作物責任規定)に基づくものとなります。