トヨタは人殺しで儲ける?

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凄まじい! でも、言い得て妙。この物騒なタイトルは、ミサワホームの三澤千代治氏のインタビュー記事のタイトルから採りました。その記事には、三澤氏がトヨタ自動車の奥田会長に「1年に何人、人を殺しているんですか」と問う下りがあります。それに対し、トヨタの奥田会長は …


問題の記事タイトルは、「トヨタは”人殺し”で儲ける会社だ」。掲載されたのは週刊金曜日553号 (2005.4.15)で、聞き手は佐高信さん。

数か月前、ミサワホームが産業再生機構の支援企業になり、トヨタ自動車等が引き受けることになったのはご存じの方も多いでしょう。トヨタにはトヨタホームがありますが、ミサワホームの方が規模が大きいので吸収というよりも「乗っ取り」という方がいいのかもしれません。

この乗っ取り劇にはいろいろと面白い話がありそうですが、まぁそれはさておき、その過程で三澤千代治氏がトヨタの奥田会長と会って話をした2003年10月のこと。三澤氏は奥田氏に「1年に何人、人を殺しているんですか」と問いかけています。

三澤氏曰く、世界の交通事故死者は12万人、怪我は500万人。トヨタのシェアが世界で10%だから、「12000人の死者でトヨタは1兆円の利益を上げている」とのこと。奥田氏は黙っていたそうですが、後日トヨタ社内で相当怒っていたとか。(ちなみに、日本に限定すれば約8000人;2003年度)

この話を単なる数字の問題とみなすかどうか。いや、みなしていいのかどうか。

車を使う限り、交通事故が起こるのは当たり前。何を寝ぼけたことを言っているのかという人がいるかもしれません。でも、交通事故は減らせます。また、三澤氏の指摘のように速度リミッターをつければ全体の4割を占めるスピード事故も随分減らせるはずです。問題なのは、交通事故は当たり前と考え、まともな対策をとろうとしないメーカーや行政機関の姿勢ではないでしょうか。奥田氏に問いかけられたのは、まさにその点だったのでしが、消費税値上げを率先する氏でも、自社の車による事故死者数については音無し。愛知窮迫といい、トヨタの社会性を疑わせる記事でした。

それにしても、交通事故の死亡者数は多すぎます。この数字は社会が当然のこととして受け入れるべきリスクなのかどうか。私は懐疑的です。プリウスも大事だけど、いの一番に問題にすべきは交通事故対策ではないかと思うこの頃です。

(追記)
当初、日本の交通事故死亡者数を間違って記載していました。ご指摘下さったO様に感謝いたします。