PLAN 75

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PLAN 75、先週観に行きました。制度化された安楽死というシビアな内容なので客の入りが少ないと考えた関係者が多いせいか、上演館があまりにも少ない。滋賀県ゼロ、隣の京都でもたった1つ。映画館で上映されるのが漫画とアクションモノばかりでは映画の未来は暗い。

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昔から安楽死にはとても興味あり。生まれ出るのは選べないが死ぬのは自分で選択できるから。なぜそれが倫理的にダメなのか、明快な説明に出会ったことが未だありません。

でも、実際上は大きな問題があることは私も理解しています。もし法律で定めてしまったらどうなるか。実際に安楽死を選ぶのは社会的弱者がほとんどで、生活困窮や厭世感ゆえになりかねない。倍賞千恵子さん主演の「PLAN 75」で問題にしたのは、まさにそういう暗い面でした。

この映画は、高齢者の安楽死を法制化した近未来の日本が舞台。介護ホームの老人を殺した若者の事件を契機として、75歳以上の者に安楽死を認める法律ができたという社会の話です。

規制緩和、小さな政府、効率主義等々を目指す新自由主義(ネオリベ)的な発想では、一方で個人に対しては自己責任が問われます。このネオリベ的考え方の問題はとりあえず横に置き、仕事にあぶれた高齢の主人公が選んだのは何か。それは映画を観て考えてみて下さい。ここで安楽死を論じるのはちょっと重い(汗)。

さて、この映画で今年のカンヌ新人監督賞にあたるカメラ・ドールの特別表彰を受けた早川千絵監督。個人的にいいなぁと思ったのはカメラワーク。日本映画は伝統的にパンフォーカスを基本にするのですが、この映画では背景をうまく暈かして心情表現に繋げている箇所が多々。日本映画も変化してきたなぁと変に感激したのは私だけでしょうか(団地のベランダで佇む主人公のシーンなど)。

いろいろ考えさせられる映画でした。某政党なんか見ているとこういう社会はすぐそこまで来ているのかも。時間のある方はどうぞ。