高野槇のお風呂 2017

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美山荘で考えた2つ目は木のお風呂のこと。既に記しているように、お風呂は木風呂が一番、私はそう考えています。ステンレス、ホーロー、硬質プラスチックなど一通り経験した結果の判断。だから、18年前自宅を建てる時には高野槇のお風呂を選択。あり得ないような美山荘のお風呂に入りながら、木風呂のことを改めて考えてみました。

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美山荘のお風呂は高野槇。それも大きな柾目板で作られていました。80年前に手がけた中村外二棟梁は美山荘とロックフェラー邸に似たようなものを入れたとか。今こんな立派な槇材は手に入るのでしょうか。あるとしても値段は青天井ではないかと思います。

(宿のお風呂の大きな写真は、宿泊者のお楽しみのためアップなし。ご勘弁。)

特筆なのが風呂桶の木肌の美しさ。まるで新品のように古さを感じさせません。一般に木のお風呂は手当たりする部分に細かいスレやキズができ、そこからカビが入って黒ずんでくるのに、美山荘のお風呂にはそんな感じがなし。何故?

どうやらお客が入った後すぐに水を抜いて、きちんと乾燥させて木風呂の鮮度?!をキープしているらしい。客が入れるのが一回きりなのは、お風呂のメンテに最細心の注意を払っているからでしょう(未確認)。

考えてみれば、世界に2つしかない文化財のような価値を持つお風呂に入れたのが幸甚というべきところ。ただ、自宅にこんなお風呂が欲しいかというとちょっと考えてしまいます。お風呂好きにとっては普通のでいいから気軽に楽しみたいと思うから。

かくいう拙宅も槇のお風呂です。入浴時の快適さは既に触れた通りで、とくに香りに関しては超高級旅館にも負けません、また、入れたのは小節なので、お値段はステンやホーローのものとそれほど変わりません。つまり木風呂は金持ち趣味でもなんでもなく、その気になれば誰でも設置できる類の設備だということ。ゴシゴシ洗わず乾燥に注意すれば、ステンやホーローよりもメンテは簡単です。ちなみに拙宅のお風呂は大阪の樋口製作所さんが作ったものです。

こちら家を建てて約18年。水抜き後に浴室乾燥機を使うため(木風呂の乾燥には必須)、風呂桶本体はあまりヘタっていません。でも、手桶や腰掛は劣化してきたので先月新しいのを手に入れることにしました。

18年振りに樋口製作所へ電話したところ、18年前のことを覚えていらしたのでちょっとびっくり。どうやら私の家に見学にきた人や本サイトで関心を持った人たちが数人、樋口さんとこにお風呂を注文したことがあったらしい。嬉しい限りです。

木のお風呂は高いとかメンテが大変などという間違った先入観に囚われていると、お風呂の悦楽には近づけません。風呂本来の目的からすればコンパクトな自宅のも引けをとっていないなぁ、と美山荘の槇のお風呂に浸かりながら思った次第。もし新築やリフォームで風呂桶を入れる予定の人は是非一度ご検討してみてはどうでしょうか。木のお風呂を手がける会社は全国にいろいろありますから、イイのが見つかるといいですね。