水道管からドジョウ! その2

Water

和歌山の新興住宅で水道水からドジョウが出てきた話の続編。蛇口の水からドジョウの他にもいろいろな「異物」が出てきますが、その事実はどれくらい知れ渡っているのか。今回のドジョウのニュースやブログ等での感想を読んでいると、そんなお世話な気持ちが出てきました。

ため池の水を防火用に使う配管に飲み水用の水道管が接続されていたため、2,3ヶ月に渡り住人は知らず知らずにため池の水を飲まされていた。これが今回の事件。蛇口から出てきたのはドジョウですが、ドジョウにはコミカルな感じもあるため、配管の接続ミスという当局のオバカさ加減を説明する格好の材料になってしまったというべきところでしょうか。

ところが、報道も世間の感想も「蛇口から出るはずのないドジョウ」という点に集中してしまい、水道サービスの現場で起きている実態の中にはなかなか突っ込めておりません。それは何か。

まず、配管の接続ミスはこれが始めてではないこと。過去に報告されているのは下水管との誤接続で、その場合影響も大きくなります。今回の原因は単なるミスとのことですが、そういうミスを誘発するような敷設方法が一般的だと考えておいた方がいいでしょう。言い替えれば、全国津々浦々で起きる可能性があるということです。

2番目。ドジョウは見える異物ですが、見えない異物もあります。色やニオイがついているなら異常に気づきやすいかもしれませんが、病原菌や病原原虫のような「異物」は見えませんし、その影響も深刻です。

3番目。配管の誤接続によらずとも蛇口の水の中には「異物」が含まれているのが現状です。これが一番厄介な問題。水道管の塗料片や内壁剥離物がそれですが、鉄管のサビのようなものが飲み水に入ってくるのは比較的よく知られていますよね。要するに、浄水場から蛇口の間に、水道管などの関連設備から出てくる「異物」があるということ。

最も深刻なのは鉛化合物。水道管には既に鉛管はないはずと思っている人も多いでしょうが、(90年半ばまでの塩ビ管は鉛入りだから)塩ビ管からも溶け出します。また、給湯器や蛇口金具の銅合金には鉛を10%弱含みますので、これらからも鉛が溶け出します。いくら浄水場で処理しても何の対策にもならないというのが、鉛汚染の実情です。

とにもかくにもドジョウに呆れ、ただ笑っているだけではニュースの価値が半減です。そう、あなたの家の蛇口からもドジョウよりタチの悪い異物が出ているとしたら? 今回のドジョウはそういうことも示唆しているのではないかと思ってしまいました。

おまけ:鉛汚染の実態とその対処方法は既に何度も指摘してきたことなので、知りたい方は本サイト内を「鉛」で検索してみて下さい。