志賀町長選のあきれた真相

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週刊金曜日 2003/10/31号の金曜アンテナ欄に載せた拙文を公開します(週刊金曜日許可済み)。

ごみ焼却場をめぐる滋賀県・志賀町長選のあきれた真相

 滋賀県志賀町では十月十九日に町長選挙が行われ、県の進める廃棄物処理施設計画の撤回を訴えた山岡寿麿氏(六六)が、前町長を退けて当選した。マスメディアは「反対派の勝利」と報じたが、実情は複雑である。
 この問題の発端は約三年前。滋賀県は国の広域ごみ処理政策を実施するべく、二○○一年に志賀町内の土地を買収し、一般廃棄物と産業廃棄物(産廃)を混ぜて燃やす大型焼却炉の建設計画を進めてきた。計画に反対する地元住民は、今年八月三一日、計画推進派の北村正二前町長をリコールに追い込んだ。
 リコールを主導した「新町長を誕生させる会」は、町長候補者を公募し、住民5人が応募したが、その後選考委員会が迷走。あろうことか、応募もしていない山岡氏(選考委員会議長)を候補者に決定した。
 山岡氏は選挙中、計画の撤回を唱えるのみで、計画反対を公約にしなかった。それもそのはず、山岡氏は立候補時の記者会見で、ごみ焼却場は「どこかに作る必要がある」とし、「産廃処理施設は志賀町にはいらない。どこか別の場所で進めてくれ」という発言をしているのである。国や県の進める広域ごみ処理計画を容認する姿勢では、ごみ問題の本質的解決には程遠い。
 地域エゴを公言して町長のイスを射止めた山岡氏と、彼を支援した一部政党や住民団体が、これからいったい何を始めるのか。対する國松滋賀県知事は、志賀町長が誰になろうと不退転の決意で計画を進めると発言しており、大津市との合併問題も絡んで予断を許さない状況となっている。
(エコライター 有田一彦)

*上記文章は、『週刊金曜日』No.482号(2003/10/31)に掲載されたもので、『週刊金曜日』の許可のもとに転載するものです。『週刊金曜日』のHPはこちらです。

*新しい志賀町を求める会のHPはこちら