調べモノをしていて「Air on the G string」というのに遭遇。あれっ、これってバッハのあの名曲のことですか? アリアって音楽の一形式だと思っていたのですが、英語の Air はなぜ?

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「Air on the G string」。もともとバッハが作曲した管弦楽組曲第3番(BWV 1068)の第2曲「Air」を、別の人がヴァイオリン用に編曲した曲だそうな。最も低い音の弦(G線)だけで弾けるようにしたので、「G線上の・・・」と名付けたようです。
編曲者は19世紀ドイツのヴァイオリニストのアウグスト・ウィルヘルミで、バッハの作曲から約100年後の話。私たちが現在よく聴く曲はウィルヘルミ編曲のものというわけです。
さてこの曲、原語のドイツ語では「Air auf der G-Saite」ですから、英語の Air と綴りはいっしょ。だから英語タイトルが「Air on the G string」になったのでしょうが、ドイツ語と英語では Air の意味合いがどうも違うようです。
ドイツ語で Air とは風采や雰囲気、あるいは音や旋律のことです。前者は「空気を読む・読まない」の空気、つまり雰囲気のことで、物理的な「空気」のことではありません。ちなみに物理的な「空気」はドイツ語では Air ではなく Luft、ご存知ルフトハンザ航空のルフトです。
ドイツ語で Air のもう一つの意味は音や旋律のことで、そこから転じてArie、つまりアリアのことを指します。アリアとはイタリア語のAriaと同じく「叙情的、旋律的な特徴の強い独奏曲」のことですから「Air auf der G-Saite」の Air はまさにアリア。決して「空気」ではありません。
久しぶりにドイツ語の辞書を引いていたら、少し景色が見えてきました。ドイツ語の Air とは音楽の一形式であって、物理的な「空気」のことではありません。でも、ドイツ語から英語に翻訳する時にそのまま英語の Air としてしまったのが「Air on the G string」。雰囲気とか旋律とかの意味合いも少しあるとはいえ、物理的な「空気」を意味することが多い英語の Air が翻訳に使われたことには残念な感じを覚えてしまいます。
一方で日本では昔の人が「G線上のアリア」と翻訳。これはまさに原意の通りで、最初に翻訳した人が賢かったというべきところ。戦前のことだと思いますし、どなたか知りませんが、ありがとうございました。以上、Aria と Air の話でした。