こだわり住宅大賞

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 家を建てて下さった原田建設の原田さんから、2月に電話がありました。なんでも「こだわり住宅大賞」というのがあるので応募したらどうでしょうか、との問い合わせです。

 「こだわり住宅大賞」とは、(社)滋賀県建築士会が主催の「住宅づくりに前向きにこだわった箇所を紹介し、これからの住宅づくりに反映させる」という趣旨のコンテストとのこと。今年で2回目だそうです。私はべつだん賞とか免状にはあまり興味がないタチですが、原田さんの「有田宅のような家を広く伝えたい」という強い要望もあり、原田さんの方から応募しますとのことだったので、手間はないし、じゃどうぞと軽い気持ちでオッケイしました。後できちんと応募要項を読むと、応募作品のうち数点を地元のびわ湖放送で放映するとかも載っていました。

こだわりなんて人それぞれですし、こだわりに優劣をつけるなんてのも変な話ですから、もうひとつ趣旨がわからないなぁと思いましたが、まぁ、それはそれ。そんな話も忘れかけていた3月中頃になって突然、建築士会事務局の西村さんが拙宅にいらっしゃり、一通りご覧になった後、TVでやりますのでよろしくとのこと。それから約1カ月後に構成作家の小野さんらがいらして4月中旬に撮影。この前後はマスメディアとか見学者の訪問が多かった時期でスケジュール調整で日が暮れていくような感じでした。
放映は、5月3日の「るるぶびわ湖」。限られた短い時間ということもあり、内容はざっとしたもので、うちの家の良さを伝えているかどうかといえば、まだまだです。でも、近所の方々や連れ合いの職場の人もご覧になったらしく、しばらくはそういう話題で楽しめました。
 さて、肝心の「こだわり大賞」ですが、結果は滋賀県建築士会会長賞というのを頂戴しました。原田建設をはじめ工事関係者の方々の尽力、私と連れ合いの努力、がそういう形で社会的に認められたという意味において、ありがたいことです。少しでも、今後の住宅づくりに役だってくれることを望むばかりです。

 ところで、同じ賞に応募した中で県知事賞をゲットした山東町の山根さん宅は、知れば知るほど凄い家でした。江戸時代に建てた家を明治の終わりのおばあさんの時代に改築し、それを孫の山根さんが2度目の改築という話ですから、既に100年は越えた家。それをさらに100年以上保たせるという意気込みで、中央大学の中村孝安さんにアドバイスを受け、現代的な要素も取り入れながらの工事でした。ソーラー設備とか近代的なものはないのですが、基本を押さえた、しっかりした家づくりの見本があります。ご本人に話を聞けば聞くほど感心することしきり。
木材は自分の山のものを切り出し、土も自分の畑から、そして時間やお金に拘泥せず、じっくりと建てる、かといって成金趣味のような家ではなく、伝統的な技法を残し、がっちりした家を残すという素晴らしさ。溜息がでそうです。京都の数寄屋みたいな、贅を尽くしたものとは一線を画しています。私にすれば、山根さん宅の方がずっと好みですね。
 また、びわ湖放送賞をゲットした新旭町の島村さん宅もとっても素敵でした。古材を集めて、少しづつ自宅を建てていらっしゃるのですが、聞けば民家再生協会の副会長さんだとか。どうりでふんだんに古材のいいのが使えるはずです。
 表彰式に出て気付いたことですが、どの家も合板なんて使っていない、昔から伝統的に使われてきた木造住宅建築の技法を中心にすえたものばかり。滋賀建築士会はそういう家だけに限定したわけではないでしょうが、結果としてそうなったというのは興味深いことです。
そういった人たちに混じって、わが家が賞をもらえた理由は、自然環境に対する配慮とエネルギー負荷の小さな家というポイントが明確に打ち出せたということでしょうか。それにしても、こだわりという次元を超えて、凄い家はたくさんあるものです。 ’