改めて メガソーラーがダメな訳

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glass1全国各地でメガソーラー計画が頓挫しているらしい。幸いにも動き出した所はTV新聞が喧伝していますが、うまくいっていない箇所を報じる例は少。なぜ頓挫するのか。見通しのない土地利用計画や勝手な発電計画ゆえの送電設備不足等々、メガソーラー側の問題はだんだん浮き彫りになってきています。

なぜメガソーラーはアウトなのか。このサイトでは既に説明してきたつもりですが、消費者の視点ではなく電力会社の視点で見直すことで問題点の所在をもう一度確認しておきましょう。

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まず復習。メガソーラーとはどういう施設なのか。

メガソーラーとは一箇所にソーラーパネルをぎょうさん並べて大型ソーラー発電所を作るという発想です。大型のダム発電所や火力発電所の考え方と同じで、そこから消費者の手元まで送電する仕組みが要りますから、送電ロスまで考慮した発電能力が要求されます。その分、能力の大きなでっかい設備となりますので、派手好きの人には受けますし、関連業界としてはウエルカムでしょう。NHKやシャープなんかが解説しているものによく登場するタイプの仕組みです。いわば、自然エネルギー版の巨艦巨砲方式。  メガソーラーは発想がダメ (2011/5/24) 

ここで注意すべきは、送電設備つまり電気を送る設備がないと宝の持ち腐れだということ。家の屋根の上に発電パネルを置くなら変電インバーター経由でそのまま利用できるのに、メガソーラーでは需要端(家庭や事業者、工場など)に電気を送るのに大規模な設備とそのコントロールが必要になります。送電時のロスまで勘案すれば、戸別家庭のソーラー発電よりもコスト面でかなり劣ることも明らかです。

この事実を電力会社の立場から見てみましょう。既に発電能力と需要供給のバランスがとれている地域にメガソーラー計画が持ち上がってきたら、簡単にそのまま受け入れるわけにはいきません。だって、既存の発電能力は新たな発電設備とどう調整したらいいのでしょうか。

送電設備がない山間部や僻地に作るメガソーラーの電気はそのままでは使えません。まず第一、どうやって都市部へ送るのでしょうか。メガソーラー用に大がかりな送電網を新たに引くのでしょうか。その設備は誰が負担し、誰が管理するのか。メガソーラー業者ではないとすると電力会社がその責を負うことになりますが、引いては電気料金を支払う私たちのコストとなってしまいます。そんなことを考えると、山間部僻地でのメガソーラーというのはなかなか認可しにくい、したくないというのが本音ではないでしょうか。

さらに厄介なことに、脱原発で原発電気を排除したいという「崇高な」目的のメガソーラーだとしても、そのままでは置き換えにはなりません。なぜなら、ソーラー発電は太陽光のある間だけの発電で、曇ってくると能力は落ちますし、夜間には全く役に立たないからです。

とすると、原発の置き換えにするにはソーラーが使えない時間帯に他の火力発電等で対応できるのかどうか。メガソーラーのような発電を持ち込んだら、それが発電しない時間帯の手当を考えなければならなくなるわけです。電力会社がメガソーラー側に充電設備を要求するという例が出ているようですが、さもありなん。つまり、地域事情を無視したメガソーラー計画が出てきても電力会社は困り果ててしまうだけでしょう。

おまけに用地取得絡みでいろいろな問題が起きているらしい。土地の値段つり上げで正体不明の人物が蠢いていたり、同じ場所に計画事業者が複数いて各々が認可申請をとっている例なども報じられています。要するにメガソーラーは儲かるということで、怪しげなファンドや業者が群がっているわけで、それらもまた今後頓挫する例に付け加わるでしょう。

メガソーラー計画が各地で頓挫する理由の一端はもう既におかわりいただけたでしょうか。送電設備がない・あるいは貧弱な場所にメガソーラーを作っても電気は送れません。地域の電力需給バランス無視、送電設備などの欠落などなど問題の責任は電力会社の側ではありません。怪しげな用地取引はソーラー発電の有効性とは関係ありません。その辺を無視したメガソーラー頓挫報道にはご注意下さい。

原発なしの未来を描けない電力会社には怒りを感じますが、昨今の無計画な金儲け主義のメガソーラーにも賛同できません。本来ソーラー発電は使用する場所で作り出す、つまり送電設備なしで使うのが一番なんですがね〜。

glassB