小泉元首相の原発ゼロ

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saku1311小泉元総理が突如言い出した「原発ゼロ」。最初はシカトを決め込んだ自民党もメディアが面白可笑しく取り上げる状況の中、無視するわけにもいかなくなってきました。
私は小泉さんの原発ゼロを大歓迎。だって、脱原発に右も左もなし。ましてやイデオロギーの問題でもありません。何故みながそんな簡単なことを理解できないのか、そっちの方が不思議です。

彼の意図はいったい何なのか、その背後関係を踏まえて少し考えてみましょう。

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3.11以前は原発推進派の一員だった小泉元首相。2011年3月11日の東北大震災の原発事故で原発反対に考えを転じたとのこと。加えて、今年8月にフィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」を見学した結果、即時原発ゼロを確信したらしい。危険な廃棄物を10万年も保管するのは未来への冒涜ですから、彼の言い分はきわめて正しい見解です。

その小泉さん、講演会や記者会見で「首相が脱原発を決めれば前に進む」と再三繰り返し、本まで出版する運びになってきたため、最初は元首相の発言を無視していた自民党政権もその対応に苦慮し始めました。

sakuB1311わからないのは、反原発・脱原発派の中に小泉「原発ゼロ」に拒否反応を示す人が少なからずいること。彼の昔の所業を取り上げ、真偽が不明とか、何か別の意図があるのではないか等々というのです。そういう発言を見聞きするにつけ、だからこの国は今まで脱原発できなかったのね~と(自戒を込めて)思います。

だって、脱原発は生活手段であり。私たちがこれからも生きていくための必要条件だから。政治理念やイデオロギーじゃない。右も左も関係なし。なぜそんな簡単なことがわからないのか、悲しくなってきました。

小泉さんの真意が原発推進で「原発ゼロ」が偽装であれば大問題ですが、今のところその証拠はありません。むしろ、脱原発を金儲けの手段と位置づけた某通信会社社長よりずっと清廉潔白です(きっぱり)。

政治家に政治的配慮があるのは当たり前。政治家を昔の所業で批判するのは評論家に任せておけばいい。大切なことは今何をしようとしているのか、その一点です。

さて、なぜ小泉元首相は「原発ゼロ」、それも即時ゼロをこの時期に言い出したのか。その意図や真意はどこにあるのか。

me1311政治家の仕事とは権益調整です。政治家の言い分を探るには調整される集団は何か、つまり政治家の背後にいる者たちを見ればよい。これが古今東西の真理。調べてみると、浮かび上がってきたのが「国際公共政策研究センター」。

この組織、トヨタ元会長の奥田 碩が会長で理事長は田中直毅、そして顧問に小泉純一郎となっています。理事の顔ぶれをみればわかりますが、まるで経団連の別働隊。要するに日本を代表する大企業専属のシンクタンクの1つです。議員を辞めた小泉さんにとっては貴重な背後団体でしょう。

そのシンクタンクの事業計画の柱の1つが環境・エネルギー問題とくれば、顧問の言い出した「原発ゼロ」と、その団体とが全く関係なしとは言い難い。もし無関係なら、小泉を顧問から外さなければ原発推進派企業の理事らは納得しないからです。

とすると考えられるのは、日本の中枢の中に脱原発を目指すというプランBが動き始めたということ。

いやそこまではいかなくても、トヨタみたいな大企業が「日本で生きていくためには原発はいらない」という方向に舵を取り始めたという兆候かもしれません。浜岡原発の停止が米軍の希望であったという「読み」を敷衍するなら、日本全国の原発停止はトヨタ等の期待だといってもよいからです。

最初は無視を決め込んでいた自民党がいつのまにか小泉発言の真意を念入りに検討し始めた。自民党自身、小泉元首相の「原発ゼロ」が新たな利権調整だと気付いたがゆえでしょう。

もう一度繰り返します。小泉さんの「原発ゼロ」は大歓迎。脱原発にはイデオロギーは関係ありません。強欲資本主義であろうと清廉潔白資本主義であろうと、生きるための条件である脱原発を実現できるならとりあえずウエルカム。

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