彦馬

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ryo2以前NHKで「妻はくノ一」という時代劇をやっていました。主人公の名前は隻星(ふたぼし)彦馬。江戸末期の松浦藩の武士という設定です。松浦というのは平戸藩藩主の名前から採ったものでしょうが、長崎で彦馬という処に何か引っかかりました。
あれこれ考えていて…、あ、そうだ、彦馬というのは上野彦馬なのね〜。坂本龍馬の写真を撮った、その人です。

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日本の写真史を紐解くと、最初のところに登場するのが上野彦馬さん。

長崎の海軍伝習所でバケ学(舎密学、せいみがく)を修め、当時ヨーロッパで発明された写真技術を日本に持ち込んだ先駆者です。

ryouma1866その彼が撮影したのが坂本龍馬で、時は1866年あるいは67年のことだったとのこと。上野彦馬は知らなくても、坂本龍馬のこの写真は見たことがある人が多いのではないでしょうか。あの写真こそ、日本写真史の1ページ目、現代の私たちはその延長戦上にいるわけです。

さて、原作の「妻はくノ一」は風野真知雄さんの時代小説。作者がなぜ彦馬という名前を人物設定に組み込んだのかはわかりませんが、彦馬に留まらず他にもニヤリとさせてしまいます。

TV以降の話ですが、彦馬さんと織江さんは抜け忍の追っ手を逃れて米国へ渡り、リンカーン暗殺計画に巻き込まれていくという筋なんだそうです(私は未読)。その際、登場するのがピンカートン探偵社とくれば、作者の人物設定のアイデアには間者、スパイというキーワードがありそうな感じですね〜。

彦馬という名前からいろいろなことが頭に浮かんできて楽しくなってしまいました。本を読んで得た雑学がフュージョンする瞬間ってホンマに痛快(この稿、以前お蔵にしていたのを発掘)。