同じようで違う話

.Lowcarboあるいは糖質制限

yagi13和牛と国産牛の違いはご存じですか?
用語が違えばモノが違うことを示唆しているわけですが、どう違うのかはなかなか分かりにくい。
じゃ、糖質ゼロと糖質オフと糖質制限はどこが違うのでしょうか?


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和牛と国産牛、どちらも日本の牛で同じように思えますが、実は違う種類です。

和牛は日本在来種による交配によって作り出された牛のことで、「黒毛和種(黒毛和牛)」、「褐色和種(あか毛和牛)」、「日本短角種」、「無角和種」を指します。

じゃ、国産牛とはいったい何かといえば、上記和牛と輸入牛以外のものを指し、具体的には乳用種や肉用種を交雑したものや日本に輸入してから3ヶ月以上肥育された外国産の牛のことです。国産だから、日本で生まれ育ったと考えるのは勝手な思い込みですね。(参考:http://www.akagewagyu.com/summary/)

故意なのか、それとも偶然なのか、同じようで同じではないモノが氾濫している今日、名前だけの印象で勝手に判断するとマヤかされてしまいます。

・・・と前振りしておいて、糖質制限に話を振り向けると、ここにもややこしい用語が蠢いています。

糖質制限というのは、私たちが食する食べ物の中から糖質(炭水化物ー植物繊維=糖質)をできるだけ食べないようにすること。食後血糖値の急激な上昇を防ぎ、膵臓の機能回復や体内のインスリン調節を取り戻すことで糖尿病の進行を妨げ、合併症の予防を行っていこう、という食事の方法を指します。英語ではCarbohydrate restriction といいます。

ところが、日本では糖質ゼロとか、糖質オフというのもあります。それらは糖質制限とどう違うのか。

糖質制限・糖質ゼロのレシピ集まず、糖質ゼロ。この食事療法を提案するお医者さんの本を読んでみると、糖質量については記載されていません。でも、野菜などを食べることを禁じていないので額面通りのゼロではなさそうです。別の人の説明では一日5グラムの糖質制限とのこと。糖質ゼロメニューを紹介している本を開いてみると、どう考えても5gは超えています(だからからか、そのメニュー本には糖質量の記載は一切なし)。

糖質ゼロとは厳しい糖質制限であることは間違いないのですが、どうやら1日5g程度以内を目指すという努力目標でしかなく、ゼロではないものをゼロだというのは何か違和感を感じますし、糖質制限の足を何とか引っ張りたい勢力にとっては格好の批判材料です。

 

糖質オフダイエット―運動ゼロで脂肪燃焼!!おいしいケトン食で無理なく美しくやせる一方の糖質オフはどうか。糖質オフを提唱するお医者さんの本を読むと、ケトン食を目指すのが目的とのこと。まず最初の一週間は炭水化物をほとんど摂らず、ケトン体の増加が確認できたら2週間目は1日の炭水化物量を50gまで増やす、三週間目は100g……とする方法です。

この方法ではずっと糖質を摂らずに済ますということでありませんし、1日に100gも摂取するわけですから、ユルユルな糖質制限でしかなく、いわば本方法に名付けられた名称でしかありません。

強いていえば、米国で実績のあるアトキンスメソッドにやや似ていますが、糖質オフでは1日100gまで糖質を増やしますので、一種の糖質制限ではあるものの、アトキンスメソッドや江部メソッドのような、いわゆる糖質制限とは違います。とくに糖尿病や糖尿病もどきな人にとっては、1日に100gの糖質をとると急激に血糖値を上げかねないので危ない方法です。また、朝食時にフルーツジュース推奨などというのは糖尿気味の人には禁忌です(後注)。オフという言葉は「糖質を減らす」程度の意味でしかありません。

 

要するに糖質制限といっても、いろんな名称があるのです。それぞれ制限される糖質量も違いますし、適用できる人の健康状態も違います。牛肉ではありませんが、言葉だけの印象で勝手に判断するとトンデモナイことになってしまいます。要注意ですね。

なお、この件はTDRでの食品偽装に関するュースを聞いて考えてみました。

buta13

(注)紹介者の本にも、糖質オフは健康人に対するダイエットであり、糖尿人等には注意が必要であるという説明が最初のイラストの中に載っています。40歳以上の3人の1人は糖尿人、糖尿もどきな状況の中では読み方注意。