埼玉プール事故:終わらない事件と終わらせたい関係者

プール事故

既に各所で報道されていますが、10月の事故調査委員会の報告書公開以降について整理しておきます。ふじみ野市長ら幹部は自らの減給で幕引きを図ろうとしているようにもみえますが、被害者の命を無駄にしないような努力を尽くしたのかどうか。ご遺族の納得のいく責任を果たしたのかどうか。どちらについても(少なくとも私には)及第点は出せません。…

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ざっと大まかに列記すると次の通り。

・10/18 ふじみ野市大井プール事故調査報告書が一般公開
・11/11 事故検証公開学習会(ふじみ野市議会民主党・市民クラブ)
・11/16 埼玉県警、関係者6名を業務上過失致死罪で書類送検
・12/18 ふじみ野市大井プール事故再発防止策などの調査特別委員会報告
・12/27 国はプール事故防止の安全標準指針を公表

 2番目の公開学習会には私が講師として招かれ、10月18日の事故報告書の問題点を解説させていただきました。このとき、会場から今回の事件の責任は誰にあるのかという質問があり、「関係者すべてにある」と回答。この意味をきちんと会場で説明しなかったことで「一億総責任論」のような無内容なものと受けとられそうでしたが、それは違います。私が云いたかったのは「責任は関係者すべてにあるが、その責任の取り方はそれぞれの社会的地位等で異なる。市長は市長としての責任をはたしてほしい、教育庁もしかり、プール管理担当者・受託会社もそれぞれの責任がある…」という意味でした。言葉足らずで誤解を招いてしまったことをここにお詫びします。

 16日の書類送検については別項で触れましたのでご参照下さい。

 また、12月になってふじみ野市議会は特別委員会を設けて今回の事故に関する市議会として取り組みを行いました。委員会を作るために民主党・市民クラブの方々が根回しをするというので、私も資料を作成し協力しましたが、(予想通り)あまり役に立たない委員会報告となり、問題に関心を寄せる多くの方々を落胆させました。残念。

 名称は「再発防止策云々」ですが、中味ははたしてそうだったのか。12月12日から14日のたった3日間で行った調査に何か意味があるものが出てきたのか。内容のある議論が尽くされたのかどうか報告書を読んでも項目だけなのでさっぱりわかりませんが、市議会もいっちょかみしましたで終わらせないためにも、出した報告内容の実現については関心を持っていただきたいものです。

 最後の最後、年末になって出てきた国の安全指針について。指針の大切さは否定しませんが、その指針を守っていない管理者の責任もまともに問えないようなモノでは実質的な意味がありません。そもそもプールで起きる吸排水口事故が人災である以上、お達しでは解決できないような別のことを考慮しなければ、事故は繰り返されると私は考えています。プール事故が過去のものになるにはまだまだ先のことになりそうです。