埼玉プール事故:吸い込み防止金具とは?

プール事故

7月31日に起きた悲しいプール事故。それを契機に全国のプールを調べてみると、びっくりするくらいの「あぶないプール」があぶり出されてきました。

その不具合のうち、安全柵やフタについてはだいたいのイメージはわかると思いますが、吸い込み防止金具って、どんなものだかわかりますか?
私自身、最初に聞いた時いったい何のことだかちんぷんかんぷん。文科省の通知を読んでも意味がはっきりしません。プール現場も何をどうしていいのかわからなかったというのが実情ではなかったのだろうかと推察します。その防止金具について少し考えてみましょう。…
(左図は朝日新聞1996年5月25日に載ったもの)

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文科省の「学校衛生の基準」に登場する防止金具とは、

「排水口及び循環水の取り入れ口には、堅固な格子鉄蓋や金網を設けてネジ・ボルト等で固定さ せる(蓋の重量のみによる固定は不可)とともに、吸い込み防止金具等を設置すること」

に示されるもの。これを読んで、上図の排水管入り口端につける金具だとわかる人がはたして何人いるでしょうか? 私はフタの部分の話と混乱してしまいそうですが、これが今回話題になっている「吸い込み防止金具」です。

吸水口・排水口の安全性を確保する上で忘れてほしくないのは、まずフタをきっちり固定すること。これです。その上でさらに安全を担保するために、内部の吸水管・排水管のクチにも吸い込み防止金具の設置があるのです。防止金具はいわば安全の2重化。誤解をおそれずにいれば「保険」のようなもの。あればそれに越したことはありませんが、フタの存在価値に比べると、二義的なものにしか過ぎません。

この安全の2重化について、もっと明快に指示した条例があります。愛知県のプール条例がそれ(昭和36年)。こちらはどう規定されているかというと、以下の通りです。

 「排水口には、堅固な金網、鉄格子等を二重に設けること」

これなら誰が読んでも二重の安全策を要求していることがわかります。国の指針も曖昧な書き方をせず、はっきりと二重化をうたって欲しいものだと私は考えますが、皆さんはどう思われますか?