ハンガーゲーム3

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ハンガー・ゲーム3 上 マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ)先日紹介したハンガーゲーム、この11月に三部作の最終回第三部上・下が発売されました。早速入手し、2日前大阪<>博多を往復する新幹線「のぞみ」の中で読破。期待を裏切らない、うんや期待以上のデキに大満足。
どこが? まず、単純に悪と正義の戦いというのではないところがマル。主人公が悩み葛藤し、自らをさらけ出して生きていく姿はスーパーマンではなく、不完全なヒトそのもの。これもいい。権力争いの醜さを折り込んで最後の大団円に向かっていく筋立ては一気に読まされてしまいました。

・・・

第一部は主人公がハンガーゲームに勝ち残る話でした。続く第ニ部はまたまた主人公がハンガーゲームに巻き込まれ、そこから脱出するところで話がおしまい。第三部は第13区を中心にした革命軍が富裕層に戦いを挑むという話です。予告編風に云えば、

権力を握る富裕層に戦いを挑んだ貧しい地域の連合体、富裕層の残忍な攻撃をかわしながら、革命軍は次第に大統領を追い詰めていく、最後に勝つのはどちらなのか。囚われたピーター(ハンガーゲームでの主人公の相棒)はどうなるのか? そしてカットニス(主人公)の運命は? 全米ヒット作品、最終編がいよいよクライマックスへ

・・・って感じでしょうか。

さて、革命のシンボルになることを命じられた主人公ですが、なかなかその演出に馴染めません。葛藤、軋轢、不安、いろいろな感情が相まり、それでも戦いの大きな流れに巻き込まれていきます。この辺の心理描写が実に秀逸です。主人公がスーパーマンでも何でもないことに私は大きな共感を覚えました。一方で、そういう主人公を利用しながら戦いを組み立てていく革命軍中枢に、打ち倒すべき権力層と同じ匂いを感じさせるような著者の思惑に、なるほどなぁと思う次第です。

第三部のキーワードも、あるとすればやはり「ハンガーゲーム」。用意周到な作者の筋立てに脱帽です。その第三のハンガーゲームを主人公がどう判断し、どう立ち向かうのか、そして最後にはいったい何が待っているのか…、最後の最後まで気を許せない展開に読者は(私と同じく)時間を忘れてしまうことでしょう。

最後に、
第二部、第三部の映画化が決まったそうです。第一部のヒットで、主人公役のジェニファー・ローレンのギャラが億単位に跳ね上がったと翻訳者の河合直子さんがあとがきにお書きになっていました。さもありなん。