現代の眼

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1960年代〜80年代に表題の名前の雑誌がありました。左翼、それも新左翼系の学者や評論家が執筆しているもので、私も何回か読んだことがあります。猪瀬直樹さんとかも書いていたらしい。ちょっとドギつい内容だったので定期購読しようとも思いませんでした。最近知ったのは、その左翼雑誌の経営者が右翼の大物だったこと。なんじゃい、これ!

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先日紹介した読売新聞清武班の本の中に、雑誌「現代の眼」を出版していた現代評論社のことが出ていました。経営者は木島力也。この人物は広域暴力団を背後に持つ財界のフィクサーみたいな存在で、児玉誉士夫といっしょに神戸製鋼の内紛で第一勧銀の窮状を救い、その件で一儲けした話が清武本に詳しく載っています。その木島が出版していたのが「現代の眼」で、左翼・新左翼の人たちの間では有名な雑誌でした。全く知りませんでした。

右翼の経営者が逞しかった・・・そう云ってしまえば話はオシマイ。モノの考え方はヒトそれぞれだと思っていますし、私は右翼でも左翼でもないのでどうでもいいんですが、何か気色が悪い(苦笑)。

裏でヤクザと連んでいたり(これは左翼右翼どちらもあり)、フィクサー稼業で資金集めしていたりしていた右翼の大物が左翼系雑誌を作っていたというのを聞くと、唖然とするより何かしら苦笑いしますね〜。まるでこの世が混沌だというのをそのまんま表しているというのか、それともイデオロギーなんてものは商売や扇動の道具にしか過ぎないというのか、まぁそんなところでしょうか。

「現在の眼」に執筆していらした、立派な肩書きの皆さんはそのことをちゃんと知っていたんですか? 左翼の人たちはひょっとしたら「現代の眼」が右翼資金で出版されていたなんて知りもしなかったんではないでしょうか?

そんなのよく知られた話だ、知らなかったのはオマエだけだ等というお叱りがあるかもしれませんが、私はホンマに驚きました。やっぱり、資金源というかカネ蔓はしっかりチェックしておかないとアカンなぁ。あの雑誌に原稿を持ち込まなかったことを幸としておきます。

清武本の絡みでいうと、「現代の眼」の経営者である木島の葬式には第一勧銀の会長や相談役、野村證券の常務等々が近親者席にいたとのこと。異様ですね。その第一勧銀会長が、97年以降の証券汚職の時に自殺した宮崎氏だったことも付け加えておきましょう。

右翼も左翼もヤクザも金融界もみんな同じナベの中、という醜い話でした。