脱原発に向けて市庁を閉庁 ・・・生駒市の取り組み

.opinion 3.11

奈良県生駒市は夏の電力需要増加に対処するため、平日4日間市役所を閉庁することをはじめ、いろいろな節電への取り組みを強化することを発表しました(2012/5/18)。
脱原発への流れを加速させることが目的だ、と市長が明確に表明しているのが素晴らしい。原発再稼働ありきの産業界や他の自治体は見習って欲しいものです。

・・・

生駒市の山下市長は5/18の記者会見にて、生駒市はこの夏の節電に向けて、

  • 7月26日(木)、27日(金)、8月20日(月)、21日(火)の4日間の市庁閉庁
  • 市内家電販売店から節電効果の高い電気機器を購入した家庭への補助
  • 消費電力削減が大きかった家庭の表彰、賞品寄贈等

 

を打ち出すことを発表しました。一番目の期日は、その4日間が一番電力を使う日に当たっているからというのがその理由です。この判断はきわめて妥当です。

だって、電力が不足するのは(関電や当局の言い分が正しかったとしても)わずか58時間だけの話であって、今夏全部の日が電気が足りないわけじゃない。そのピークに合わせて大量の電気を作ろうとするのか、ピークだけを何とか切り抜けようとするのか、全く対応が異なります。生駒市が狙うのは後者のやり方。

この記者会見の時に山下市長は「原子力発電所の運転が再開がしない前提で、15%の節電を達成するために、市は旗振り役にならなくてはいけない。この夏の節電が達成できれば脱原発へ向けての流れが大きく加速すると期待している」と話しました。(以上、出典はNHK奈良ニュース)

気になったので他社のニュースをチェックしてみると、朝日奈良版や毎日奈良版には影も形も見つからず(ネット版)、産経では一番目の閉庁にはダンマリで2番目だけを報じていました。NHKだけが今朝も近畿版で大々的に脱原発で生駒市が閉庁だと報じていたのとは大違いです(5/21)。各社の思惑が出ていますな。

近畿圏の民放テレビはスポンサーへの気兼ねなのか、原発再稼働しないと企業の存亡に関わるかごとき放送を繰り返しています。

電力のピークシフトの方法はいっぱいあります。近畿圏で一番の電力消費は鉄道で、水道・下水道などの公共機関も電気の大喰らい。鉄道はダイヤの間引きやエアコン設定の機微で対処できるはずですし、水道・下水道も運用のやりくりでピークをずらすのは(難しいけど)不可能ではありません。離れワザとしては、高校野球を甲子園から近畿外に持っていくだけでも一気に電力消費は削減できます。ともかく原発再稼働だけが夏の電力対応ではありません。そんなことを一切検討しないで原発原発という企業や国は、夏に乗じて原発を推進したいと云っているだけ(きっぱり)。

それにしても、生駒市の山下市長のコメントは実に素晴らしい。涙が出そうなくらい素晴らしい!

15%節電を達成すれば原発はいらない、その旗振り先導は行政がするよ、脱原発に向けて皆でがんばろうぜ…って、はっきりと云う役所のトップがいる自治体は羨ましいなぁ。福井の自治体はいわずもがな、全国の自治体も見習ってほしいものです。