スマートメーター

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先日東電が総合特別事業計画を発表。その中で一般家庭向け電気料金の平均10.28%値上げを組み込んでいるそうな。昼間と夜間で料金に差をつけても今のメーターでは昼夜を区別できないので、新しいタイプのメーターが必要です。ところが設置している家庭は微々たる数。ということは今回の料金値上げの真の意図は新メーターの導入誘導なのか。(左の写真の米国製スマートメーター 出典:グリーンサーベイ

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従来の電気料金メーターでは使った量しか計れません。そこで、内部にコンピューター&通信回路を組み込み、料金センターと光回線等で結ぶことで、外部から電気の使用実態を詳細に把握できるようにしたものがスマートメーター。これが新しいタイプです。

今回東電の値上げ案にある昼夜料金の格差を実現するのはスマートメーターが必要ですが、現在これを設置している家庭はほとんどありません。これから設置するとしても7月の値上げには間に合わないのではないでしょうか。とすると真の狙いは何なのか?

図はNRI未来ナビのHPより

電力会社やその取り巻きは新メーターの導入で節電に繋がるとかコスト削減になるとか喧伝します(上図はNRI未来ナビにある図です)。メーター検針員の首切りで人件費削減にはなるでしょうが、まぁ話半分に聞いておいて下さい。

だって、スマートメーターは従来のメーターよりも高価ですし、設置工事費などのコスト、通信経路のメンテナンスは電気料金アップの要因になります。まぁそれこそ電力会社と関係会社にとっての「甘い汁」というわけなのでしょう。

人による検針コストと器械によるコストでは後者が安いかもしれせんが、余計なことをあれこれ始めるとコストはアップしていくはずです。だから、スマートメーターは料金値上げの理由を新たに創り出すようなものではないだろうかと警戒しておくべきでしょう。

厄介なことに3.11以降、禍々しい話が出ています。新メーター導入をめぐって既存下請けとの結束を固め膨大な利権を確保したい東電と、外資参入によって門戸開放を狙う原子力損害賠償機構との主導権争いがそれ(たとえば週刊ダイヤモンド 2012 4/14号「知られざるもう1つの”電力ムラ” スマートメーター利権」等)。

新メーターはメーターだけに留まりません。その検定試験、保管、運送、取り付け工事、検針、独自通信回線網及び通信機器の設置や管理のもろもろ、たくさんの利権が張り付いています。

要するに、東電は下請け・関連会社に仕事を回して自らの利権を確保したい。一方で巨額の賠償金支払いをどうしようか考え倦ねている機構は、少しでも安い新メーターを使えばコスト削減できる、また東電のムラ構造を壊して自由競争させればコストも安くなるはずだと考えているわけ(まぁ外資参入利権というのもありそう)。

新メーターを従来通り”電力ムラ”で導入すれば、表金も裏金もすべて電気料金に算入されます。これは今までの東電や電力会社のやりクチを見れば明らか。すなわち、理不尽な電気料金値上げに繋がっていきます。だから、東電と機構の丁々発止について国民全体で監視しなければなりません。でも御用メディアは電力業界からの袖の下や媚薬が効いているのか、大事な話を知らない振りして役立たず。グルなのかな。困ったもんだ。

おまけに、
スマートメーターの設置は「電気エネルギーの監視カメラ」をつけるのと同じ。昼夜の料金調整という宣伝文句の背後に本当に何もないのか。だって、オール電化な家にしてみれば、在宅不在のチェックにも使われるかもしれませんし、国税や他の会社と連めばもっとケッタイなこともできるでしょう。

スマートメーターがそういう個人情報取得のツールとして使えるモノであることを理解せず、便利だ便利だなんて思っていると誰かの思うツボ。こういうのはしっかり機能・仕様制限をかけるなり不正利用のオトシマエを準備しておくべきだと私は考えますが、そういう動きは全く聞きません。イヤな世の中だなぁ。

続きは スマートメーター その2