茶色の朝

.Books&DVD… .opinion 3.11

茶色の朝ルペンさんが不支持を打ち出したことで敗北が決定的になったサルコジさん。でも、選挙には不正がつきものだし蓋を開けてみないとわからない。そのルペンさん、2002年当時ルペン父が大統領選に立候補し、社会党のジョスパンを抑えシラクと一騎打ちというのがありました。彼は移民の排斥などを目標にしていたため、フランスがファシズムに陥ることを危惧した著者がわずか1€の定価でこの本を出版し、「極右にノン」の機運を高めるのに貢献したんだそうです。

・・・

こどもでも問題なく読める内容の筋立てです。中味はほんのわずかなので、スジをここで書くと興醒めですが、著者のパヴロフさんの云いたいのは、

権力による統制とかファシズムは、ある日突然に忽然と現れるのではない。何でもなさそうな話が、いつのまにか、だんだんじわじわと、私たちの生活を変えていき、気がついたら逆戻りできないような処まで私たちを追い込んでいく・・・

ということなのでしょう。

今回の「茶色の朝」のうしろ半分は高橋哲哉さん(哲学)のメッセージがついています。著者の略歴、本の経過、そして茶色brunはナチスを連想させる色である等々、フランス文化圏に疎い私たちには氏の解説は非常に有益です。

さて、フランスだけでなく、この国でも何か怪しい雲行きが進んでいます。

日の丸君が代を強制する橋下大阪市長といい、民主・自民の大同団結の蠢きといい、自衛隊を国防軍と改名しようとか、憲法改悪で戦争ができるようにしたいみたいな動きが活発化しています。

戦後問題の経過などもう一度確認しなければならないことは多々ありますが、それはちょっと脇に置いて、そうした右系の人たちの中でも原発には反対と賛成が入り乱れていて、まことに話がややこしい。

ただ、原発に右も左もないのと同じで、ファシズムにも右左はありません。とくに橋下某なんかの言動を仔細に追っていると状況の変化で180度変わりそうな感じもしますから要注意。