311の教訓

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国家は破綻する――金融危機の800年311が起こり、原発からまき散らされた放射性物質のせいで後始末のスケジュールさえままならない。国が勝手に収束宣言を出しても、地元福島県をはじめ多くの人たちはそれを信じていない。追随するのは太鼓持ちの御用メディアだけ。
食品はといえば、被曝指標が改定されるらしい。そのことは望ましいけど、水産物等の汚染が顕在化するのはこれからだと考えると、来年もまた喧しい年になるのは必須。そんな中で、別の破滅話も静かに進んでいることをご存じですか?

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地震はいつ起きてもおかしくない、いつかこの国で悲惨な原発事故が起こるだろう、その時に生き残れるかどうかは運次第だ・・・

そう以前から言い続けてきましたし、個人的にもその対応策や原発に頼らないライフスタイルを、連れ合いとともに探ってきました。でも、不幸なことに、その起きてほしくないことが起きたのが311。とくに原発事故に関しては私の想像をも超えるものでしたし、いまだに終着点が見えないくらい悲惨です。

非常時の水に関しては拙著『あぶない水道水』で書いた通りで、現在の都市水道が大地震だけでなく渇水にも十分対応できないことを示し、その対応策を行政レベルから市民レベルに至るまで提示したつもりです。知りたい人は拙著をご覧下さい。

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まぁ原発や水絡みの話はさておき、この稿で云いたいのは別件で、「この国は壊れている その2」でも取り上げた年金問題や日本国債の話。

民主党が政権をとる時に使ったマニフェストが悉く崩壊していく中、年金問題が上手に隠蔽されていることをどれだけの人が気づいていることか。消えた年金とか名簿の不備だけが年金問題ではありません。本当に厄介なのは年金財政の破綻問題。でも、御用メディアはそのことをきちんと伝えません。

311の教訓とはいったい何だったのか?原発とか地震とか個別の問題は横において、私なりにざっと挙げてみると、

  • 国は民を守らない、
  • 国のいうことを信じるな、
  • 政治家はウソツキだ、
  • 新聞テレビは本当のことを云わない、卑怯だ、
  • 国のウソを擁護するような学者や専門家がたくさんいる、
  • 自分や家族を守るためにはとりあえず自分の判断が第一、
  • 心ある人たちと連携して生き残っていこう、

等々。

この教訓を年金問題に適用してみましょう。
いくら国が100年安心などとウソを喧伝しても、年金財政が破綻するのは時間の問題。それもそう遠くない時期にやって来ます。そのことをきちんと整理したレポートが最近発表されていますので、是非一度ご覧下さい。それは「年金財政の現状と現実的な抜本的年金改革」鈴木亘(学習院大)です。

未だにこの国が右肩上がりの経済だという期待を前提にして「安心」を謳うのは論外です。年金を維持するためには払う人の数と金額が保証されなければ無理。なのに、人口が減って老人の数が増え続けていくのにどうやって年金を確保するのでしょうか。「見たくもない現実を見ない国民」が騙されてしまうのか、それとも「イヤなことは先延ばしする」のがこの国では利巧なことなのか。ここにも原発の安全神話と同じ考え方、あるいは愚かさが露呈しているじゃないですか!

国に頼るしか道はない、国の云うことを信じられないなら日本から出て行け等々とタカビーなことを云う人がいますが、そんな脅しに乗ってはいけません。国のやり方は昔からずっといっしょ。

国のやり方を本当に理解すれば、国の言い分の裏にある思惑を察知し、手を打たなければなりません。何もそこまで…というのであれば、あなたの採るべき方法は国の言い分を疑い、検証することから始めてみて下さい。

どうしたらいいのか? まずは先の鈴木レポート。国がいう「安心」が本当かどうか、判断できるのではないでしょうか。私思うに、原発事故のように起きてから年金の勉強を始めるようでは初動が遅れ、悲惨な目に遭ってしまうでしょう。これもフクシマといっしょ。

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国債も同じです。ギリシアの経済破綻が明らかになり、急激な金利上昇で国債が暴落したことはご存じの通り。似たようなことはイタリア、ポルトガル、スペイン(PIGS)でも起こっていますが、この問題が一般に伝えられ始めたのは2009年後半。このHPで紹介したのが2010年2月11日。また、最初に挙げたロゴフさんらの原著を紹介したのが2010年1月6日。(その翻訳が出たのは今年の3月でしたが、タイトルはずばり「国家は破綻する」でした)。

世界国債暴落 ―世界を蝕む日本化現象その後ユーロ圏の経済破綻は広く取り上げられるようになったので、その時点で何か対処策を打っていれば余裕でかわせたはずですが、どうでしたか? 巻き込まれた、逃げられなかったという人は、次にやってくる日本国債の暴落にはどう対処しますか?

これは脅しでも何でもありません。避けることができない、とっても不幸な出来事です。これも最近ネットにわかりやすく解説したのが出ていたので紹介しておきますと、「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」カイル・バス(「週刊現代」2011年12月24・31日号)というのがありました。

要するに、これから日本の人口が減ってくると日本国債の引き受け手がいなくなり、金利をあげることになる、勢い国債の暴落が加速化される、そうなると国家予算が実質的に組めなくなり日本は破綻する・・・というシナリオです。

国債大暴落の恐怖国は決して国債暴落の危険性を正しく伝えません。その反対で、国民が気づかない間にどんどん押し売りしようとやっきです。ヨイショする学者や著名人らは国民財産があるから大丈夫と云っていますが、それは既に過去の話、国は国債購入者の資産を保護してくれるでしょうか。無理でしょう。だって、確信犯なんですから。311同様、ここにも「国は民を守らない」から「国のいうことを信じる」とバカを見ることになってしまいます。

国債が暴落するとどうなるか。まずギリシアのような状況になることは容易に想像できます。さらに悲惨なことに、円の価値が暴落していくので(円安)、輸入に頼る日本ではエネルギーや食料資源の価格がうなぎ登りになり、強烈なインフレが襲ってきます。その結果、国債金利は益々アップし、暴落に歯止めがかからなくなるという悪循環に陥ることでしょう。

問題はそれがいつなのか。残念ながら私にはわかりません。先のバスさんは12ヶ月以内と云っていますが、はたしてどうなるのか。でも、問題は時期ではなく、起こるということに対するあなたの認識です。あなたやご家族の生活をそれなりに確保するためには、国債暴落の危険性を前もって想定しておかなければなりません。年の暮れ来年の初めに考えてみることをお勧めします。

おまえはどう考えているんだ? と問われれば、年金なんか貰うことができればラッキーで、日本はもとより各国国債には決して手を出しません。また、日本株を預貯金替わりにすることはあっても資産株とは見なさず、日本以外の国の株を持つことで資産保全を行い、日本売りに対処しようと考えています。まぁそんなくらいでエックスデイを無事に乗り越えられるとは思っていませんけどね(苦笑)。

いずれにしても、大事なことは年金や国債問題を想定外から想定内にしておくこと。311のように、起こる危険性が高いのに起こらないものとしてきた者にとっては、また同じ過ちを繰り返さないようにすることが肝要です。