この国は壊れている その3

.opinion 3.11

今年の紅葉はずいぶん遅れてやってきたようです。さて、師走で慌ただしくなってきましたが、お変わりございませんか。
私はネット以外で新聞は読みませんし、TVも時報替わりにスイッチオンする程度。大きなニュースはラジオやネットで十分手に入りますし、なくても問題ありません(笑)。むしろ、右から左へ流れる山のようなニュースに翻弄されることが少なくなるのでベター。それでも奇妙な用語が飛び交うとカチンとくることは多々。

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原発被害賠償金:

 ウソもイイカゲンにしなさいな。対象地域はほんの一部だけだし、だいいち賠償金ではなく見舞金じゃないですか!賠償というなら実質的な損失を考慮してその額を積まないと話になりません。

原子力損害賠償紛争審査会が御用機関なのは私が云うまでもないのでしょうが、それを報じるメディアもひどい。賠償にはなっていないとなぜ報じないのか。メディアが被害者側ではなく加害者側に与している御用な証拠ですね。

と書いていたら、昨日枝野経産相は参院決算委員会で、東京電力福島第1原発事故を受けて自主避難した人への賠償について「具体的に生じている出費は当然対象になる。東電に速やかに支払うよう指示する」と述べたとか(時事通信 2011/12/07)。それが筋ですが、云うだけでなくちゃんと実施できるように取り計らって欲しいものです(九電騒ぎの時には云うだけの尻切れトンボでしたもんね)。

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冷温停止:

 これまた詐欺的用語。専門用語の定義とは全く異なると学者が指摘していましたが、専門でない私から見ても異様です。

だって原子炉内の核反応が完全に停止するわけじゃない。水をかけ続けて温度上昇が抑えられているだけじゃないですか。メルトダウンした燃料棒は圧力容器の底を突き破り、格納容器周りのコンクリートもえぐっている(らしい)ので、温度測定をどこで行うかで、かなり数値に違いが出てくるはず。そんなアヤフヤさで停止を語るというのは、別の意図を感じさせます。要するに、被害の大きさを矮小化し、1日も早く格好だけでも終結宣言をしたいだけでしょう。

原発事故がもう終わったという雰囲気を演出するために日本政府とその背後にいる原子力マフィアが作った造語に騙されてはいけません。御用メディアの安全報道に唆されてはなりません。冷却水が切れたり、新たな地震で何が起こるかわからないのだから、まだ警戒を解くのは早すぎます。

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風評被害:

 風評とは噂のこと。実態がないのにウワサだけで評価されてしまうことで被害に遭うのが風評被害。でも、東電福一原発で甚大な放射性物質が飛び散ってしまい、それで土壌が汚染され食べ物や水が汚染されてしまったのは曲げようのない事実。本当に汚染がなかったのなら風評被害ですが、あったのなら実態被害じゃないですか。

それなのに実態データなしで風評風評と喧しい。農作物を作らなければ補償しないという補償制度がバツですが、安全かどうかを暫定指標なる基準で安全偽装したものに対して世間がどう見るか。汚染されたもの・汚染された危険性のあるものと、そうではないものを比べるなら、後者を選ぶのが普通だし人情でしょう。風評とは全く別次元の話です。

風評被害というのは、たとえばフクシマから遠く離れ、放射性物質による汚染の被害がなかった場所の宿で、予約している外国のお客さんが「日本へ行くのはコワイからキャンセルしたい」というような種類のものでしょう。汚染実態がないのにウワサだけで被害を受けることと、本当に汚染されている被害とをいっしょくたにしてはいけません。おそらく「風評被害」というコトバを使えばオカネの問題がスムーズにいくという腹もあるのでしょうが、世間の信頼をどんどん失っていることに関係者は気づかなければなりません。

ところで、暫定指標なるトンデモ基準は補償金額をできるだけ抑えようという当局や原子力マフィアらの策謀ですが、それに乗ってしまったらどうなるか。つい先日読んだ「農家の婿のblog」にあった「食べて応援」は幻想だ」にはその一端の禍々しさが説明されていました。

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それにしても御用学者のレベルが低すぎ。ヒトではチェックできない毒性は動物実験で補完するという一般ルールを無視してみたり、国際的には相手にされなくなったホルミシス説を持ち出してきたり、奇妙奇天烈な理屈を平気で使う者までいます。国も学者も壊れていますわ、ホンマ。というか、壊れているシステムが311で顕わになったというほうが妥当なのかなぁ。