このグラフは何でしょう?

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まず、1枚のグラフをみて下さい。横軸は西暦で1977年から1997年まで、縦軸はある事象の発生件数です。さて、これが何を表すグラフなのか、わかりますか? 

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まず先入観なく見ていきましょう。1977年から1980年代半ばまで、ある事象は年間100〜150件だった。しかし、それ以降、その事象は増加の一途を辿っています。これをご覧になって、この事象は増えているとみるか、あるいは増えも減りもしていないとみるか。あなたならどちら?

実はこのグラフ、ベラルーシでの青年・大人の甲状腺ガンの数の変化のグラフです。チェルノブイリ原発事故(1986年)以前は年間100〜150件くらいだったのに、事故後は増加し、1993年以降、年間500〜600件程度にまで増加しているのが、おわかりいただけると思います。

グラフは今中哲二編「チェルノブイリ事故による放射能災害」(国際共同研究報告書)(技術と人間 1998)から引用

チェルノブイリ原発事故の影響を過小評価したい学者らは、この増加は診断技術の向上や検診機会の増加といった「見せかけ」の要因を考えると、必ずしもチェルノブイリ原発事故の被曝にともなうものとは云えないとしています。

しかし、ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコさんは先のガンデータを年齢訂正し、原発事故がなかったとしても起こり得るだろう自然発生数を割り出し、やはり原発事故の影響で青年・大人の甲状腺ガンが増えていることを明らかにしています。

一般に権力を持つ加害者側が明らかにして欲しくない事実が出たら、権威筋にその反対主張をさせたり、ゴマカシの情報を発信させたりして最低でもドローに持ち込むというのが過去の公害事件の定石だったことを、ここで思い出して下されば幸いです。

一方、こどもの甲状腺ガンについては、もともと症例がほとんどなく、例えばベラルーシでは原発事故前の10年間で7件だけ。それがチェルノブイリ原発事故後10年間で508件と激増しました。こんな増え方は、チェルノブイリ原発事故に関係していると考えるのが普通ですが、それさえ多くの学者たちは認めようとしませんでした。

WHO(世界保健機構)などの国際機関は、こどもの甲状腺ガンについては風土病の甲状腺腫の予防で投与されたヨウ素剤が原因であるとか、化学肥料や殺虫剤によって汚染された食べ物が原因である等とし、原発事故の影響を当初否定。しかし、ベラルーシの地元の研究者らの地道な調査で被害実態が明らかになり、IAEA(国際原子力機関)やWHOも隠しきれなくなり、1996年にウィーンで開催されたIAEA・WHO・EU(欧州連合)の3者による国際会議で、原発事故による晩発障害として小児の甲状腺ガンを認めることになったのです。

しかし、IAEAやWHOは、先のグラフで示される青年・大人の甲状腺ガンの増加については、いまだに認めていません。チェルノブイリ事故以前のベラルーシでの年間100〜150件という数字が、1986年の原発事故後に増加し、1993年以降500〜600件と4〜5倍に増えているにもかかわらず、その増加すら認めていません。

甲状腺ガン以外のガンも増加しているという報告もありますが、それも無視。曰く、あったとしてもストレスや心配から引き起こされた可能性があるとされました(何かどこかで聞いたことのあるような文言ですね)。おそらく、国際原子力マフィアは補償問題などを考慮し、政治的・経済的判断を優先させているのでしょう。

純粋に学問的・統計的に物事を判断し報告する、という姿勢こそ、学者や医者には求められていると考えますが、それが出来ない・したくない人々がIAEAやWHOなどを牛耳っているようです。福島県のリスクアドバイザーらはその使い走りなのでしょう。彼らの血脈や系譜についてはいずれまた。