今は昔 番外編

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毎日新聞のインターネットニュース(12日)に、  「筒井天尊さん78歳(つつい・てんそん=京都大名誉教授、放射性廃棄物管理学専攻)12日、胃がんのため死去」というのが流れていました。自分の非を隠すために私を裁判に訴えるといきまいていた方でした。…

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1980年のこと。当時京大の原子炉実験所(大阪府熊取)から微量の放射性廃棄物がタレ流されていることが新聞を賑わせていました。その廃棄物担当部局の責任者が、この筒井天尊さん。私がいた学科は衛生工学科でしたが、その廃棄物担当部局は関連講座の1つでもありました。

原子炉からの放射能漏れですから、地元の反対運動は当然問題にします。また、大学内の反対運動の中心であった反原発学習会も勢いづきました。私はその末席にいたこともあり、研究用の原子炉から放射能が出るくらい杜撰な手続きをしているのなら、京大本学の研究施設からも出ているんじゃないかと思い、ほんじゃ衛生工学科や原子核工学科なんかの排水口も測定してみようかと思った次第です。これが当たっていました。

その経過の説明は長くなるのでしませんが、それから京大関係の放射能漏れは新聞やTVで繰り返し話題になることとなります。とくに衛生工学からの放射能漏れをマスコミにばらしたのは有田だ等と学内外で吹聴されましたが、それはデッチ上げ。私が公表する前に大学当局が被害を最小限にとどめ、ニュースをコントロールしようと画策し、当局が自らばらしたというのが私の推測です(だって、他にばらせる人はいないもんね)。

その過程で面白いことがありました。それが筒井さんと私に関わること。彼曰く、熊取にある原子炉実験所からの放射能漏れだけが問題になり、本学の放射能漏れが話題にならないのは、有田がそのデータをネタにして大学院博士課程入りの交渉条件にしているからだ等と当時の研究室スタッフに吹聴していたのです。私が原子炉反対運動の中心にいる人物だと認定し(これも判断ミスですが)、そいつをウワサ話でいじめてやろうと考えたのかもしれません。とんでもない人ですね。そんな事実は全くありませんでした。

私がそのことを聞きつけ、人の名誉を侵害するようなでたらめを云わないでほしい、本学から放射能汚染が出ていることなど知らないし、本当かどうか今から測定する、という内容の手紙を筒井氏に送りました。それが元で本学の放射能漏れがだんだん明らかになっていくのですが、それはそれとして、その手紙を私が公開したのは名誉毀損行為に当たるなどとして、筒井氏が私を裁判に訴えると言い出したのです。とんでもない人はおかしなことを言い出すものです。

そんな泥試合になったら困ると判断したのか、当時の衛生工学科教授会は筒井氏を押しとどめることに注力し、なんとか筒井氏の矛先を納めるのに成功しました。本当に訴えてくれたら面白かったのにと今でも思う次第です。

その後、熊取の原子炉問題で学生や院生が彼を取り囲むと、演技でバタンキューと倒れてみたりする、なかなか滑稽なキャラクターの人でしたが、しかし、それも今は昔。
筒井さんの死去のニュースを当時の友人に伝えたら、「時の流れを感じますね」の一言でした。ホンマ、その通りですわ。