ダーウィンのミミズの研究

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ダーウィンのミミズの研究たくさんのふしぎ傑作集
新妻昭夫 文 杉田比呂美 絵 福音館書店 1996

今回は絵本をひとつ紹介します。ミミズの絵本です。

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ミミズを使った生ごみ・コンポストの話は既に紹介しました。私自身も日々実践しています。でも、ミミズの話をしようとするとヌルヌルしていて気持ち悪そうだと思いこんでいるせいでしょうか、多くの方々は敬遠します。でもね、見た目はとっつきの悪い人でも話してみるとなかなかいい人だったということがあるように?!、みみずというのは、なかなか可愛くて愛着のわいてくる、不思議な生き物なんですわ、これが。

本の紹介にいきましょう。進化論で有名なダーウィンがみみずの本を出版したのは1881年。その45年前の1837年ビーグル号の航海から帰ってきたダーウィンに、親戚のおじさんがある話をしたことがヒントになって、ダーウィンはみみずが土を作るという仮説を立てます。それから一生をかけてみみずの調査をしていくことになるのですが、その結果はどうなったか。それがこの本のストーリーです。

面白いのは、著者の新妻さんご自身がダーウィンの生家に出かけて、あれこれ調べた話がおまけについている点ですが、本の中味を紹介してしまうと興ざめですから、そこは読んでのお楽しみ。

この本は絵本仕立てで、小学中級からという対象年齢に設定されていますので、スラスラ読めてしまいます。いや、眺めることができます、と云うべきでしょうか。でも、絵本だからと侮ってはなりません。この本では結果や知識よりも、発想のもとや思考過程を重視していますから、科学を学ぼうという人には実に含蓄の深い内容になっています。

本の性格上、みみずのことを専門的に詳しく知りたいという人にはあまり役に立ちません。また、みみずを使った生ごみ・コンポストの方法を紹介するわけでもなく、みみずの糞の実際的な活用方法を教えてくれるわけでもありません。
その代わり、みみずという生き物が自然界においていかに有用な生き物であるのか、みみずがいったい何をするのか、なぜみみずが大切なのかといった、みみずと大地との関係については十分な理解を得られるはずです。お子さんやお孫さんといっしょに読んで考えてみようという参考書としては二重マル。ご興味のある方は是非手にとってみて下さい。