イルカはクジラ

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kobu映画「ザ・コーヴ」の上映をめぐってゴタゴタが起きています。製作手法はもとより、映画そのものに創作部分が多いことが暴露されたり、一方で「表現の自由」等というもっともらしい擁護のある中、一番厄介なことが消えていっているようです。水銀汚染の鯨肉という問題、です。

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え、「ザ・コーヴ」ってイルカの話でしょ? クジラとは違うんじゃないと思ったあなたへ、イルカもクジラです。

分類学的な話をしませう。クジラにはヒゲクジラとハクジラという2つがあり、歯がないものと歯を有するものがいます。前者にはシロナガスクジラ等がいますし、後者にはイルカやシャチなどがいます。ほら、イルカもクジラですから、クジラ肉として売るのに何らインチキはありません。

だいいち、巷で売っているクジラの肉って、ほとんどがイルカじゃないの? 調査捕鯨という名前のクジラ漁で得られる量なんてたいしたものじゃない。でも、この日本ではそれなりにクジラ肉が出回っていますよね? あれはいったい何の肉なのか? 一度考えてみて下さい。

クジラ漁が文化の問題かどうかとか、生態系の保護保全かどうのこうのという問題はいったん横に置きませう。その肉が水銀で汚染されていたら、あなたはそれを食するかどうか。厄介な問題はここです。

海水中で最大のほ乳類であるクジラ(上記説明よりイルカ含む)は、海水生態系の捕食ピラミッドの頂点にいます。したかって、海水中にある代謝されにくい物質は微生物から小動物、小魚、そして大魚に至る過程でどんどん濃縮され、最後のクジラで最大濃度になりやすいという傾向にあります。これは水俣病の研究で明らかになった通りです。

したがって、巷で売っているクジラ肉が高濃度の水銀で汚染されているのだとしたら大変なことで、水俣病の再来になってしまいます。実際、太地町住民の毛髪中の水銀汚染はかなり高いことも報道されています。日常的にイルカなどのクジラ肉を食べているからだろうと推察されますが、本当に健康影響は皆無なのでしょうか? 

水銀汚染は杞憂だというなら、国や関係者はクジラ肉の汚染についてきちんと公表し、消費者に伝えてほしい。しかし、そんな調査すらやっていないのだとしたら、映画「ザ・コーヴ」の意義はきわめて高いものだと云わざるを得ません。少なくとも私はクジラ肉を食べたくありません(きっぱり)。